「死体があった部屋から見えること」中岡 隆:遺品整理屋体験談 [本ノンフィクションいろいろ]
7点
「遺品整理屋は見た!」とは別の遺品整理屋さんが書いた本。
「遺品整理屋」とは、名前の通り遺品を整理してくれる職業であるが、その他にも自殺現場や孤独死で遺体が腐敗し大変なことになっている部屋の掃除までしてくれる。
「遺品整理屋は見た!」と、個々の事例は違えど、大まかな内容は似ている(ゴミ屋敷の掃除に関する事は、こちらの本でだけ)。
が、書く人によって、違うものだなーと思った。
「遺品整理屋は見た!」の著者は、孤独死や自殺の悲惨さを訴え、それを少しでも減らそうという意図を強くもって本を書いた気がする。
孤独死や自殺現場の悲惨な状況の描写も、自殺するとこんな悲惨な状態になるんだから、身内の悲しみは半端じゃないんだから思いとどまりなさい、孤独死するとこれほど周囲に迷惑をかけるのだから、そうならないように準備しなさい・・という意図がある気がする。
この本でも、その意図はあるのだろうが、どちらかというと、「こんな大変な現場でも、私達はプロとしてキチンと仕事をします」というアプローチの方が強い気がする。
「遺品整理屋は見た!」の著者は、この手の現場のゴタゴタに情を出してついつい巻き込まれてしまう人の良いおじさん、この本の著者は、ゴタゴタは仕事とは違うとはっきり拒否できるプロ意識に徹した律儀な人という印象(あくまでも個人的な印象だけど)。
死体があった部屋の描写は、こちらの方が虫の種類や様子なども詳しく書いてあって生々しい。
センセーショナルな描写も多い。
が、心に響いて来るのは「遺品整理屋は見た!」の方かな~。
孤独死は、他人事で済まされるものではないんだなーと、考えさせられる内容になってるし。
この本の著者の、プロ意識に徹した態度も素晴らしいと思うけど、情に流されやすそうな「遺品整理屋は見た!」の著者の方に、何かあったら頼みたいなーと思ってしまう。
「死体があった部屋・・」「遺品整理屋は見た!」どちらも読みやすいので、遺品整理屋という職業に興味があるなら、自分の好みでどちらを選んでもいいかな。
あっ、「遺品整理屋は見た!!天国へのお引越しのお手伝い」はタイトルが似ているけど「遺品整理屋は見た!」の2冊目で、これは遺品整理屋の仕事というより、人が死ぬ事により起きる人と人のゴタゴタが中心なので、最初に読むのはお勧めしない。
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