SSブログ

「龍神の雨」道尾秀介:人の弱さ、悲しさ漂うミステリー [本:ホラー&ミステリー]


龍神の雨

龍神の雨

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/05
  • メディア: 単行本

7.5点

実の両親を失い、飲んだくれる継父と暮らす兄妹。
同じように実の両親を失い継母と暮らす兄弟。
この2つの家族の運命を降りしきる雨が狂わせて行く。
あの日雨が降っていなければ・・・。

道尾秀介は、先日短編集「鬼の跫音」を読んだけれど、長編の方が面白いと改めて思った。

簡潔な文章、あっさりとした語り口で綴られる物語の中で、
読み進むほどに浮き彫りになって行く登場人物達の心の機微。
この辺がすごく上手いのだけど、短編だと浮き彫りになる前に話が終わってしまっている感じがする。

その点、こちらは著者のいい部分がちゃんと生かされ、
主要登場人物の4人の葛藤、悲しみ、苦悩、迷い・・など繊細な心の動きが、
雨をキーワードに、事件と連動しながら上手く表現されている。

ミステリー仕立てではあるけど、話の中心に来るのは人間の弱さ、脆さ、悲しさ。そして強さ。
読後も、切なさ、悲しさが後を引く。
これは「ラットマン」でも感じたものだ。

しっかりまとまっていて、話も面白く、最後までぐいぐい引き込まれるように読んだ。
道尾秀介の人気が高いのがわかるなーと思えた。

でも、もう一つ思った事は、「面白い」と感じることと「好き」は違う事。
道尾秀介は面白い。
でも、どの作品も読みたくなるほど自分は「好き」ではない。
道尾秀介の作品より、知らない作家が書いた怪しげなホラーを選んでしまう自分がいる(^^;)。

映画もそうなんだよね~。
「見れば絶対面白いはず」と思える名作より、
当たりか外れかわからないB級C級ホラーを見てしまうのだ。

nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 4

コステロ

映画の選択に関しては、同じく、ですね。

ただ、私の場合はホラーよりもB級アクションが多くて
『タイタニック』とか『愛と青春の旅たち』とかは、観たことないのに
『スーパーマリオブラザーズ』とか『ストリートファイター』とか
あるいは一連のスタローン映画とか、なぜか観ちゃってます。

それも劇場で。
by コステロ (2010-02-14 11:14) 

choko

コステロさん

コステロさんが、心の琴線に触れてついつい見ちゃう映画は、
アクション映画ですか~(^^)。
コステロさんも、同じ傾向で嬉しいですO(*^▽^*)o~♪
「世間の評判より、自分の好み優先」なのでしょうね(笑)。

スタローンは、ランボーシリーズがすごく見たくなります。
何か惹かれるものがあるようです(^^;)。
ランボーの最新作は、機会があったら見ようと思ってます。




by choko (2010-02-14 12:27) 

rudies

いつも、ふむふむと読ませていただいております。

chokoさんの勧められる本、特にホラー系は
読んでみたくなります。が、
お金がまかないきれないので
先日から、何十年ぶりに図書館通いしています。(*^^)v

道尾秀介氏の本、借りて読んでみます。
by rudies (2010-02-15 18:52) 

choko

rudiesさん

図書館いいですよね~(^^)。
道尾秀介は人気があって、予約後3ヶ月待ちくらいでした。
届いた本を受け取りに行ったら図書館の人に
「まっ、いい本が来たわね!」って言われて、
「ああ、この人も道尾秀介が好きなんだなー」と。

「トイレの本」とかの時は、何も言って貰えませんが(笑)。
by choko (2010-02-15 22:51) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。