「新世界より」（上下）貴志祐介著：近未来ＳＦとしても冒険物としても楽しめる！

新世界より 上

• 作者: 貴志 祐介
• 出版社/メーカー: 講談社
• 発売日: 2008/01/24
• メディア: 単行本

8点

のどかな村。穏やかに過ぎる日々。
しかし、その村には、犯してはいけないいくつかの禁忌や恐ろしい言い伝えがあった。
子ども達は、大人になる為、呪力の勉強をし、雑用をこなすのは異形の生き物達。
中世の日本の農村の雰囲気を漂わせてはいるが、それは1000年後の日本の姿だった。
主人公は、同じ班の級友同士で、村の外でキャンプして過ごす学校行事の時、
失われた過去の情報を知る。
子ども達に隠されていた、人類が辿った恐るべき歴史とは。

呪術や異形の者達が出てくるホラーファンタジー、少年少女が成長する姿を描く冒険小説、
壮大な歴史アドベンチャー、人類の末路を想像させる近未来ＳＦ、とにかくいろいろな要素が
ぎっしり詰まっているのに、それがちゃんと一つの世界観を構築し、
1つの話としてまとまっているのがすごい。

ストーリーもドキドキ、ハラハラの連続で、最後までぐいぐいと読ませる内容。
序盤のおどろおどろしい雰囲気に、突然近未来SF風の設定が入り込んでくる辺りなどは、
思わずグっと来てしまった。
その後も、ホラーティスト、ファンタジーテイストを持ちながらも、ちゃんとＳＦの設定が生かされている。
そして、小さな村が舞台だった話が、どんどん世界を広げ壮大になって行くのもいい。

主人公が禁忌の正体やおぞましい過去の歴史を知ったり、悲しい級友との別れ、
村を襲う厄災など様々な体験によって大人になっていく様も感動的。
また人類のあり方、人の恐ろしさまでも考えさせられる内容になっている。

貴志祐介の力量が存分に発揮された作品！
エンターテイメント性も高く、多くの人にお薦めですＯ(≧▽≦)Ｏ！！

コメント 4

コレは読んでました！さすが貴志さんの作品だけあってグイグイ感が凄かった＾＾最初はスタンドバイミーみたいな感じかと思っていたのに、何のジャンルか分からないほどいろんな要素が詰まってました。
残念ながらまだ下を読めて無いんです･･･
上を読んだのが結構前で忘れかけてましたが、下読みたい気持ちがムクムクしてきましたよぉ～＞＜
by ufavan (2010-03-17 08:17) 

ufavanさん

上巻だけとはもったいない！！
ぜひぜひ下巻も。
上巻とはまた違った面白さが満載です(^^)。

by choko (2010-03-17 13:57) 

去年読みました！貴志祐介、化けた？って思いました。

すごく面白かったけど、ちょこさんの書くとおり人類とか歴史とか考えさせる部分も多い本でした。ホラーテイストが凄くいい感じになってたと思います。

グロテスクではありますが、子どもの成長物語でもありますね。

by ちょび (2010-03-17 15:39) 

ちょびさん

うんうん「化けた」って思う気持ちわかります。
貴志祐介って、ここまで壮大な話も書けたんだ～って。

ホラーテイストがすごくいいエッセンスになってますよね(^^)。
全体の雰囲気を独自のものにしてるというか。
ホラーテイストが無ければ、ここまで絶賛しなかったかも。
やっぱり自分は、ホラーテイスト重要です(^_^;)。
by choko (2010-03-17 16:18)