「水魑の如き沈むもの」三津田 信三著:怪奇とミステリーが融合。オドロオドロしくて良かった。 [本:ホラー&ミステリー]
7.5点
三津田信三の「刀城言耶シリーズ」。
このシリーズの他の本。
◎ 厭魅の如き憑くもの (講談社文庫)
・凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)
◎ 首無の如き祟るもの (講談社文庫)
・山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)
・密室の如き籠るもの (講談社ノベルス)
「◎」印は読んだので3冊目(感想は「◎」をクリック)。
で、この本「水魑の如き沈むもの」の粗筋は・・・・
深通川に沿ってある4つの村の神社では、渇水や増水の時、
湖の神「水魑様」をなだめる為の儀式を持ち回りで行っていた。
23年前、水分神社の宮司が、13年前には、水使神社の長男がその儀式の最中に死を遂げる。
水分の宮司がボウモンという化物になって、水使の長男を呼んだのだ・・・
そんな噂が村の中で囁かれた。
そして、刀城言耶が儀式を取材に訪れた時、またもや儀式の最中、
湖面で儀式を行っていた水使神社の3男が死ぬ。
それも、胸を一突きされ。
皆が儀式を見守る湖の上の小舟の上で起きた、密室殺人とも言える事件。
三男の死を予兆していたような水使神社の神主。
水使神社の宮司の血のつながらない孫である正一は、
その後、それは連続殺人事件と・・・。
怪異とミステリーが融合したこのシリーズ、
今回は、怪奇色が強めの部分があり読んでてゾクゾク、楽しめました(^^)。
作中に登場する水使神社宮司龍璽の血のつながらない孫である正一が中心のサブストーリーが、
特に怖くて良かった♪
満州から母に連れられ命からがら村に戻ってきた正一。
子供の頃から、この世の物とは思えない何かを幾度となく見ていた彼。
母亡き後、祖父である龍璽が、何かしらの目的を持って大切に扱っている姉鶴子の身を案じ、
水使神社の秘密を探る内に、禍々しい雰囲気を持つ隠された蔵を発見したり、
禁忌の場所に入り込んだりするのだけど、その辺の描写がすごく怖い!!
ミステリーとしては、相変わらず詰めが甘い部分があるけど、
今回も伝奇・伝承に纏わる話がたくさん詰め込まれていて、雰囲気も満点。
今まで読んだ2作に比べると語り口の回りくどさも少なくなり、
最後まで(最初の導入、刀城言耶と阿武隈川烏の掛け合いだけはちょっとダレだけど)
楽しんで読めました♪
シリーズ物だけど、この作品から読んでも大丈夫です(^^)。
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