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「骸の爪」道尾秀介著:夜中に笑う仏像、割れた仏像の頭から血・・・20年前の隠された惨劇との関連は?? [本:ホラー&ミステリー]


骸の爪 (幻冬舎文庫)

骸の爪 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 文庫

7点

ホラー作家の道尾は、取材の為訪れた仏所で、夜中に笑う仏像を目撃する。
そして、暗闇の中、「マリ」と呼ぶ声を聞き、声に導かれるようにたどり着いた先には、
頭の割れた仏像が祀られていた。
驚くべき事に、仏像の割れた頭から血が流れ・・・。
そして、その夜から、仏所の彫師の一人が行方不明に。
この仏所には、隠された陰惨な過去があった。
道尾が遭遇した怪異、隠された過去、それと行方不明事件は関係があるのか?

オカルト色の強いミステリー。
背の眼」と同じシリーズで、
ホラー小説家の道尾と、「霊現象探求所」の真備が登場する。
「霊現象探求所」という名前から、三津田信三の「刀城言耶シリーズ」「死相学探偵シリーズ」のような、
オカルトとミステリーの融合かと思ってしまうが、
オカルト的要素は、表面だけで、基本はミステリー。
本当はオカルト要素をもうちょっと出すつもりだったのが、出せないまま終わった・・って感じもするけど。

仏所が舞台な事から、仏像に関するウンチクや、それに関連する仕掛けが面白いが、
仕掛け部分は、ちょっと仏像絡みに偏り過ぎてしまった気も。

道尾秀介の作品で見られる、登場人物の、心を締め付けられるような悲哀、
根底にある優しさ、人間の弱さなどを、この作品でも感じる事ができる。
ただ、オカルト色が強く、探偵ものであるという部分が、
その情感溢れる部分と咬み合っておらず、どっちつかずになってしまっている。

それでも、最後まで面白く読めたのは、道尾秀介のうまさだろう。
まぁまぁお勧め。
傑作を期待せず、軽い気持ちで読むと楽しめると思う。

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コメント 2

ufavan

最近 仏像ブームですよね♪
阿修羅像とか 仏像界のアイドルと呼ばれているそうです^^

そんな方には ウンチクも楽しいかも!!

by ufavan (2010-07-20 07:56) 

choko

ufavanさん

阿修羅像が関東に来た時の騒ぎはすごかったですよね~。
私も、阿修羅像は好きなので、アイドルと呼ばれているのも納得(笑)。

仏像って種類も多いし、意味もいろいろあって、
いきなり全部羅列されるとごちゃごちゃになっちゃうので、
こういう小説でとっかかりを掴むというのもいいですよね(^^)。
by choko (2010-07-20 19:45) 

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