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「背の眼」道尾秀介著:オカルトミステリー、そんなに怖くないけど面白い! [本:ホラー&ミステリー]


背の眼

背の眼

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 単行本
7.5点

「背の眼」と同じ登場人物が出てくる、2作目の「骸の爪」を先に読んじゃったけど、
一作目のこちらも読んでみました。

第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
文庫版「背の眼〈上〉」「背の眼〈下〉」も出てます。

ホラー作家道尾は、旅先の白峠村の河原で不気味な声を耳にする。
それを相談する為訪れた友人真備の「霊現象探求所」。
その探求所には、白峠村近辺で撮られたという、人の背中に眼が写り込んでいる4枚の心霊写真が。
その上、背中に眼が写っている人は、4人とも自殺していた。
白峠村近辺では、未解決の児童失踪事件も4件起きていた。
天狗の伝承があるこの地域では、この事件を神隠しと信じる人も。
背中の眼と、自殺、そして、連続児童失踪事件には、何かつながりがあるのか。
そして、道尾が聞いた謎の声の意味は・・・。

2作目「骸の爪」は、オカルトティストではあったけど、それらの超常現象が本当は超常現象ではなく、
手品のネタばらしのように、謎解きの過程で、原因が次々に解明されていった。

しかし、1作目の「背の眼」は、超常現象はちゃんと超常現象として扱われ、
事件の方は、ミステリー物として成立し、現実世界のものとして解決している。

ミステリーとオカルトの融合、でも事件は現実の事件としてオカルト要素を除いて成立しているので、
三津田信三の「禍家」に近いかな。
ホラーティストや、超常現象との絡み具合は、「禍家」に比べると、ものすごく弱いけど。

1作目のミステリーとオカルトの融合の方が、物語の設定に即していると思うのだけど、
何で2作目は、オカルト部分をオカルトじゃなくしちゃったのだろ???
それに、1作目の「背の眼」の方が好みなので残念。

心霊写真、背中に浮き出る眼、神隠し、白峠村に伝わるおぞましい伝承・・・と、
ホラー要素は満点だけど、あまり怖くないです。
怖さを期待するとがっかりすると思う。

でも、上記の要素を絡めながら事件が進展し、事件の全容が明らかになっていくのが面白い。
要所要所に挟まれる、霊障現象や天狗などのうんちく話も楽しめるし。

道尾秀介作品らしい、人が人生で遭遇する悲哀、根底にある優しさ、
それらもちゃんと感じる事ができる。
特に今回は、ちょい役って人がいい味をだしてた。

このシリーズはもう続かないのかな?
続けるなら1作目に戻って欲しいなー。

蛇足だけど、この話の舞台は福島県。
地元の人が方言で話すんだけど、変だった。
脳内で、福島弁のイントネーションに置き換えられないというか(^^;)。
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コメント 6

ufavan

ストーリーは良くある寒村のオカルト物を思わせますが
真相が分かって行く 過程がおもしろそうですね☆

余談ですが・・・
結婚して神奈川に来たけど、ボク 地元は福島!!
楽しめそうです^^;
by ufavan (2010-08-10 10:52) 

choko

ufavanさん

ufavanさんも福島が地元でしたか~!
福島県内も、地域によりいろいろな方言があると思うのですが、
そのどれにも当てはまらない気がしました(^^;)。

で、ストーリーは、あまり寒村って感じがないのです。
村というより、山の中にある数件の集落という感じ。
水郡線の路線沿いという設定らしいです。
矢祭(磐城石井)近辺かなーと思っているのですが、
この辺あまり詳しくないので全く確信はないですが。

話は、どんどん展開するし、読みやすいので、
いいですよ(^^)。
by choko (2010-08-10 14:14) 

あるかり

ちょこさん、こんにちは!
スパさんのところからこちらにも押しかけてしまいました。

道尾作品、私も大概全部読んだ(はず)と思うのですが、
この「背の眼」の内容が今ひとつ思い出せなくて……^_^;
でも、ちょこさんのわかりやすい解説で大分思い出しました!
短篇集の「花と流れ星」がすごく好きだったんですが、
これも真備シリーズがベースでしたよね。

それにしても、ホントにたくさん読まれていてすごいです!
何より、マメに書評を書かれていらっしゃること……尊敬します。
ぜひこれからも参考にさせていただきたいので、
こちらのブログもリンク張らせてもらっていいでしょうか?
よろしくお願いしまーす!
by あるかり (2010-08-14 11:50) 

choko

あるかりさん

こちらにもいらっしゃいませです♪

道尾作品、ほとんど読んでいるなんてすごい!
私は、まだ一部しか読んでないんですよ~。
「花と流れ星」は真備シリーズがベースなのですね。
それはチェックしないとO(*^▽^*)o~♪
情報ありがとうございます♪

いえいえ、本を読んでいる方の中には、
ものすごーーーくたくさん読んでいる方も多いので、
私なんてん、全然って感じです。
感想も、なるべく書こう書こうと思いつつ、
下書きの海に沈んでいるものも多いですし。
でも、感想書いておかないと、内容とか、読んだこととか忘れちゃうので(爆)、
なるべく書こうと頑張ってます(^^;)私の外付け記憶媒体。

あるかりさんも、お忙しそうなのに、
その合間にいろいろ読んでいらして尊敬ですよ~。

リンクのお申し出、嬉しいです♪
私の方も、リンクさせて下さいませ(^-^)ノ。

by choko (2010-08-14 13:57) 

ベン

初めて道尾作品拝読致しました。
いくつか疑問を感じました。
1.老女の特定に電話帳で探すという設定ですが、女性が世帯主と し て登録している事は少ないです。電話帳に記載されていな い同名の女性が複数いる可能性が全く考慮されていません。
2.頭巾を固定するものがゴムであると勘違いしたことが、犯人と 確信する根拠としていますが、江戸時代からの風習にそのよう な勘違いをする程度の知識しかもたないような犯人とは思えま せん。
3.題名となる背中の眼と複数の人物の死、また老女の息子の背の 眼等に関し十分納得のいく論理的説明が不足している。
 最重要な事項に関し尻切れとんぼ感があります。

デビュー作として多少甘く見て、他の作品を読んでみます。

by ベン (2011-04-12 22:13) 

choko

ベンさん

はじめまして、コメントありがとうございます(^^)。

私は、オカルト部分の方が重要なので面白かったですが、
しっかりとしたミステリーを求めると、確かにいろいろ設定の甘い部分がありますよね。

道尾秀介は、他の作品も、ミステリーの仕掛け、設定の詳細さより、
登場人物の心情などがメインになっている気がするので、
ベンさんのお好みとは違った作風な気もします。
by choko (2011-04-13 07:58) 

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