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「ハプスブルク家の食卓-饗宴のメニューと伝説のスープ」関田淳子著:ヨーロッパ中世の宮廷の食がわかる本♪ [本:歴史]

ハプスブルク家の食卓 (新人物文庫)

ハプスブルク家の食卓 (新人物文庫)

  • 作者: 関田 淳子
  • 出版社/メーカー: 新人物往来社
  • 発売日: 2010/06/07
  • メディア: 文庫
7.5点

政略結婚により、中世ヨーロッパで大きな影響力を誇ったハプスブルク家。
そのハプスブルク家の食事をテーマにした本。

第一章「皇帝たちの食卓」は、ハプスブルク家の歴史を追いながら、
歴代皇帝の経歴と食事のメニューが紹介されている。

政略結婚によりいろいろな国とつながりを持ったハプスブルク家。
ハプスブルク家の歴史を通し、中世ヨーロッパの情勢がわかるだけでなく、
ハプスブルク家と他国とのつながりの影響が、宮廷の食卓に反映されていく様は、
ヨーロッパの食事の歴史でもあり、かなり興味深い。

スペインから、フランスから(フランスはイタリアから)、ハンガリーから、
ハプスブルク家が、それらの国と関係を深める度、変わる宮廷の食事。
現在のオーストリア料理が、様々な国、そして東方貿易などでもたらされた
香辛料や新しい材料の影響で、出来上がったということがよくわかる。

そういえば、現在行われている、フランス料理で一品一品出される給仕方は、「ロシア式給仕方」だとか。
ハプスブルク家では、19世紀になって取り入れられ、それまでは、
コース毎に2~3品同時に出される「フランス式給仕方」だったそう。

ハプスブルク家で愛された30種類を超える食材を使った「オリオ・スープ」の簡単なレシピも載っている。

また一世を風靡したハプスブルク家の悲しい末路についても読める章。
読み応えがある章でした。

第2章は「宮廷料理の舞台裏」。
ウィーン宮廷料理の成り立ちや、料理人の役割分担・役職などについて触れられている。

第3章は「華麗なるウィーンの宮廷菓子」として、
皇帝や皇族に愛されたお菓子やレシピの紹介だけでなく、
ウィーンの代表的なお菓子「ザッハ・トルテ」が生まれた背景などにも触れている。

第4章は「栄華の象徴-食器と銀器の饗宴」として宮廷で使われていた食器や銀器についての章。
大きな晩餐会だと銀器が足りずレンタルしたり、財政がきつくなると銀器を溶かして売ってしまったり、
宮廷というものを維持するのは大変なんだなーと思ってしまった。

メインは1章「皇帝たちの食卓」。
ハプスブルク家がたどった運命だけでも読み応えがある。
ハプスブルク家は、神聖ローマ帝国の君主になったり、
ヨーロッパに一大帝国を築いたカール5世を出したり、ハンガリーやスペイン、
ボヘミアの王様を出したり、あちこちで見かける為、混乱しがち。
その辺を系統立てて追うにも良い本。
ヨーロッパの食文化が、いろいろな国が相互に影響を与えつつ、
形成されていくのがわかるのも面白い。

お勧めです(^^)。
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コメント 2

コステロ

『新人物往来社』ってのは、なんだか凄そうな社名ですね(笑

by コステロ (2011-01-17 05:21) 

choko

コステロさん

出版社の名前、いま気が付きましたよ(^^;)。
意味がありそうで、深く考えると「???」って名前ですね。
by choko (2011-01-17 08:15) 

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