「助けてと言えない-いま30代に何が」NHKクローズアップ現代取材班著:助けを求めない30代ホームレス達 [本ノンフィクションいろいろ]
7点
30代の青年が、貧困の中餓死した。
真面目で勤勉だった彼。
しかし、この不況の中、職が安定せず、借金が増え、そのせいで職すら失い、貧困の中に落ちて入った。
彼が最後にメモに残した一言は「たすけて」。
しかし、親友が近所に住み、連絡を取り合う兄もいた彼は、生きている間、その言葉を発しなかった。
その事件を調べ始めたNHKの取材班は、助けを求めない30代ホームレス達の事を知る。
30代ホームレスに共通するのは、一見ホームレスであるとはわからないこと。
みな、身奇麗にしているし、ホームレスだと見られる事を極端に嫌がる。
ホームレスと悟られないよう注意して行動している。
そして、家族や友人に自分の現状を絶対に話さず、支援の手を差し伸べようとしても、頑なに拒絶する。
ホームレス支援をしている人の話によると、外で寝る為、
靴が独特の汚れ方をしているので判断できるという。
以前、何かの記事で30代のホームレスは、
「プライドが高く、見栄っ張り過ぎる為、家族や支援を頼ろうとしない」というのを読んだ。
上記の、30代ホームレスのイメージと重なる。
しかし、その内面は自分が思っていたのとはかなり違っていた。
私は、それらホームレスになった人々が、
「社会が悪いんだ、自分は犠牲者だ」との不満を抱えていると想像していた。
しかし、本書で語られる30代ホームレスの言葉は、正反対だった。
「自分が悪い、自分の努力が足りなかった。親にもこんな姿を見せられない」、
どの人も、自分を責めていた。
そこには、努力すれば報われた親世代を見て育ち、
就職氷河期に就職し、勝ち組負け組と言われる時代に生きた30代が、
親と同じように生きられなかった自分を恥じ、
困窮している現状を、時代ではなく、自分の努力不足として責めている姿があった。
20代の頃は、体力もありどうにかなった。
人に助けを求める事もできた。
しかし「30代になって人に助けを求めるのは・・・」という意識も、彼らを追い詰めている。
この辺の心理はすごくわかる。
また、彼らに「助けて」と言わせない社会にも、この本は言及している。
現在、「ニート」「ひきこもり」の問題の方が、30代~40代の問題としてピックアップされることが多い。
「ひきこもり」まで行かないが自立できず親に食べさせてもらい、
バイトなどのお金をお小遣いにしている30代~40代も多いと思う。
「いくつになっても親のすねをかじって」・・とこの生き方を見る世間の目は冷たい。
親が健在なのに、頼らずホームレスになってしまう30代の人達も、
そういう世間の目と同じ意識を持っているのかもしれない。
いまの社会、一人では自己責任を果たせない。
しかし、まだそれを認める風潮は弱い。
親に頼らず、一人で責任を負ってホームレス化する人がいる一方で、
親が裕福で、そのすねをかじって生きている、親が死んだあとどうするのだろう?と、
その先を心配してしまう人達、また親の資金が厳しくなり、働かない事を責められ、
その親に暴力を振るう人達が社会問題になっているからだろう。
真面目に働けばどうにかなった社会から、
真面目に働いても生活が立ち行かないワーキングプアが増えている社会への変化。
助け合いながら自己責任を果たす、それが普通と思える社会、
そんな社会に変化しないと、この先、どんどん厳しくなると思う。
でも、人々の意識が変化するには、まだまだ時間がかかりそうな気がする。
自分だって、何かあった時、助けて・・と言えない気がする。
面倒をかけたくないし、面倒をかけられたくない・・・そんな意識が根深くあるから・・・。
30代の青年が、貧困の中餓死した。
真面目で勤勉だった彼。
しかし、この不況の中、職が安定せず、借金が増え、そのせいで職すら失い、貧困の中に落ちて入った。
彼が最後にメモに残した一言は「たすけて」。
しかし、親友が近所に住み、連絡を取り合う兄もいた彼は、生きている間、その言葉を発しなかった。
その事件を調べ始めたNHKの取材班は、助けを求めない30代ホームレス達の事を知る。
30代ホームレスに共通するのは、一見ホームレスであるとはわからないこと。
みな、身奇麗にしているし、ホームレスだと見られる事を極端に嫌がる。
ホームレスと悟られないよう注意して行動している。
そして、家族や友人に自分の現状を絶対に話さず、支援の手を差し伸べようとしても、頑なに拒絶する。
ホームレス支援をしている人の話によると、外で寝る為、
靴が独特の汚れ方をしているので判断できるという。
以前、何かの記事で30代のホームレスは、
「プライドが高く、見栄っ張り過ぎる為、家族や支援を頼ろうとしない」というのを読んだ。
上記の、30代ホームレスのイメージと重なる。
しかし、その内面は自分が思っていたのとはかなり違っていた。
私は、それらホームレスになった人々が、
「社会が悪いんだ、自分は犠牲者だ」との不満を抱えていると想像していた。
しかし、本書で語られる30代ホームレスの言葉は、正反対だった。
「自分が悪い、自分の努力が足りなかった。親にもこんな姿を見せられない」、
どの人も、自分を責めていた。
そこには、努力すれば報われた親世代を見て育ち、
就職氷河期に就職し、勝ち組負け組と言われる時代に生きた30代が、
親と同じように生きられなかった自分を恥じ、
困窮している現状を、時代ではなく、自分の努力不足として責めている姿があった。
20代の頃は、体力もありどうにかなった。
人に助けを求める事もできた。
しかし「30代になって人に助けを求めるのは・・・」という意識も、彼らを追い詰めている。
この辺の心理はすごくわかる。
また、彼らに「助けて」と言わせない社会にも、この本は言及している。
現在、「ニート」「ひきこもり」の問題の方が、30代~40代の問題としてピックアップされることが多い。
「ひきこもり」まで行かないが自立できず親に食べさせてもらい、
バイトなどのお金をお小遣いにしている30代~40代も多いと思う。
「いくつになっても親のすねをかじって」・・とこの生き方を見る世間の目は冷たい。
親が健在なのに、頼らずホームレスになってしまう30代の人達も、
そういう世間の目と同じ意識を持っているのかもしれない。
いまの社会、一人では自己責任を果たせない。
しかし、まだそれを認める風潮は弱い。
親に頼らず、一人で責任を負ってホームレス化する人がいる一方で、
親が裕福で、そのすねをかじって生きている、親が死んだあとどうするのだろう?と、
その先を心配してしまう人達、また親の資金が厳しくなり、働かない事を責められ、
その親に暴力を振るう人達が社会問題になっているからだろう。
真面目に働けばどうにかなった社会から、
真面目に働いても生活が立ち行かないワーキングプアが増えている社会への変化。
助け合いながら自己責任を果たす、それが普通と思える社会、
そんな社会に変化しないと、この先、どんどん厳しくなると思う。
でも、人々の意識が変化するには、まだまだ時間がかかりそうな気がする。
自分だって、何かあった時、助けて・・と言えない気がする。
面倒をかけたくないし、面倒をかけられたくない・・・そんな意識が根深くあるから・・・。
ん~、どうなんでしょうねぇ。
「自分の努力が足りなかった」と認め、自分を責める。
しかし、言い換えれば、「そこで努力するコトをやめてしまってもいる」わけですよね。
一方で親元に帰れば、当然「イチからのやり直し」を求められるわけで
それが面倒で全てを放擲している、とも取れるのではないか、と。
私は日本を離れて長いので良くは分かりませんが、
「不況で職がない」とはよく聞くその一方で
「少子化により人手が足りない」なんてハナシも聞きますし、
一度死んだ気になって、どんな辛い仕事でも、汚い仕事でもやってやる、
と言う気概が、一番欠けているものなのかもしれないな、と思ったりもします。
by コステロ (2011-02-09 11:23)
コステロさん
>一度死んだ気になって、どんな辛い仕事でも、汚い仕事でもやってやる、
>と言う気概が、一番欠けている
確かに、これが一般的な見解で、ホームレスまで追い詰められる人も、
持っている概念じゃないかと思います。
そして、これが助けを求められない理由にもなる。
必死にやってても、どうにもならないのは、
「自分の頑張りが足りないんだ」と。
ホームレスの人達も、きつい日雇いの仕事をしたり、
ハローワクに通ったりしているわけで、努力してないわけではないようです
(一度実家に戻ったけど、仕事が見つからず、家をでた人もいましたし)。
中には、努力を放棄している人もいると思いますが、
餓死した男性は、昼夜必死で働いたけど、
徐々に追い詰められ、不幸な結果を迎えたようです。
私は母子家庭で育ち、家に本気でお金が無かったので、
ほんのちょっとした突然の出費が、
生活を立ちゆかなくさせるのを、
徐々に生活を追い詰めていくのを、実感してます。
問題は、死ぬ気になって仕事をしても、収入は低く、安定せず、
先が全く見えない、勤務先の倒産、リストラ、病気など一つの躓きで、
立ち上がるのが難しくなるって事だと思います。
本の中にも、支援を得て就職した男性の話が載っていましたが、
生活は、赤貧、ギリギリのまま。
続きます
by choko (2011-02-09 17:36)
コステロさん(続き)
またきつい仕事って体を壊しやすく、それでより貧困に落ちる例が
アメリカには多いらしいですが、日本でもそうなんじゃないかなと。
この状態で、40代、50代になり体を壊したり、
より仕事が見つからなくなり、ホームレスになる人も多いようです。
必死に働いても生活も苦しい、将来も無い・・・その状態で自分が絶えられるか、
自分自身に置き換えてみても、できるか難しいです。
アフリカの工場の話で、真面目に仕事していれば昇給できる、
5年、10年後には安定した収入が得られる・・と希望がなければ、
頑張って働き続けるのは難しい・・・というのがありました。
仕事をするには、希望が必要だと。
日本には、その希望が無い職業が蔓延してる気がします。
10年、20年真面目に仕事をしていても、ある日突然解雇され路頭に迷う可能性が高い・・・
というのがいまの日本の現状で、本書でも、
いまは安定しているけど、明日は我が身との不安を持つ30代が
とても多い事が取り上げられていました。
この問題には、正規雇用が減った、給料の低下、少子化による景気の低迷、
仕事の海外流出、手に職では食べられない・・etc。
様々な要因が絡んでいる気がします。
by choko (2011-02-09 17:49)
はじめまして、これをみて、同じ世代が苦労している。私も同じです。病気しても無視される人、 渋谷をみると
寝られない町 寂しい町
なんか活気はあるが あてもなく、誰かを待つ人。 笛をふいて自分はここにいるよとアッピルする人
何のために自分が生きているか?答えが見つからない人達の辛い社会
私も苦しかった事 今は、やっと好きな人が出来ているけど 次の子供達の将来が心配です。テレビをずっと流して頂けますか?このテレビをみて自殺を留める人がでるから。放送をやめないでください。お願いします。
by 月きみ (2011-02-12 10:57)
月きみさん
コメントありがとうございます。
「助けてと言えない」の流れを組んでいると思われる、
「無縁社会」の新しいのと、再放送、ここ数日の間に放送されましたが、
見ましたか?
月きみさんがおっしゃる通り、この時代の閉塞感、孤立感は、
既に10代の若い人達へも影響しているようで、同じく心配です。
同じ境遇・心境の人が大勢いるというのがわかるだけでも、
気持ちの持ち方が変わりますよね。
月きみさんは、この番組で勇気づけられたのでしょうか?
放送を続けて欲しいという月きみさんの気持ち、NHKのサイトなどで、
番組スタッフに伝える手段があるような気がしますよ。
by choko (2011-02-12 22:38)