「死ねばいいのに」京極夏彦著:何が面白いかわからなかったよ・・・ [本:ホラー&ミステリー]
5点
一人の女性が殺される。
その女性と関わりがあった人の元に、一人の若者が訪ねてくる。
その女性の事を教えて欲しいと。
頭も悪いしもの知らねえし、喧嘩も弱い・・・そう自称する若者。
その若者と話している内に、人は自分の昏い心の中を覗き込む・・・。
うーん、何て言っていいのか困る話。
一応殺人事件は起きてるけど、ミステリー仕立てでもない。
話が進んでいく内に、殺された女性の不幸な身の上が明らかになるけど、
それが大事な訳でもない。
殺された女性の事を聞かれているのに、何故か自分の事ばかり話してしまう、
自分中心にすべてを考えている関係者達。
その心に潜む闇がテーマなのだろう。
その闇を指摘され良心の呵責と自己弁護の狭間で揺れる人の心を、
若者の放つ「死ねばいいのに」という言葉がえぐる・・という流れが全6章で繰り返されるんだけど、
自称も、話し方も、設定も「頭が悪い、もの知らない」と言ってる青年の言う事が、
あまりに正論過ぎて浮いてる。
ここまで語れるんだったら、こんな生き方はしないだろ・・・って思ってしまう。
章の途中まで、頭が悪い青年は、章のクライマックスになると作者が憑依して、
作者の言いたいことを代弁をしてるような感じが(^^;)。
「人の心の昏い部分」もあまり目新しい部分は無かった。
普通の人が誰でも持っている心の闇なら、もっと上手に書いてる話があると思うし。
「数えずの井戸」(リンク先感想)でも思ったけど、
相変わらず京極夏彦の構成力は凄いし、上手いなとも思う。
最後にはちゃんと落ちもあって感心もしたけど、内容的には読んでてイライラするだけで、
面白い話とは思えなかった。
外れ!
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