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「無縁・多死社会-団塊の世代が死に絶えるとき!データでわかる日本の未来」超高齢化社会と独居世帯の増加の問題 [本ノンフィクションいろいろ]

無縁・多死社会 (データでわかる日本の未来)

無縁・多死社会 (データでわかる日本の未来)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: ムック
7.5点

帯に
「他人事じゃ済まない!衝撃のデータ
2030年、日本人の3人に1人は高齢者!
必要な介護職員212万人、療養病床50万床!
社会保障費207兆円、現役世代の負担は1.8人で高齢者1人
男性の3人に1人、女性の4人に1人は生涯未婚!
70万人ひきこもりの第一世代高齢者突入!
20秒に1人が死ぬ時代はもう始まっている!
次の孤独死はあなたかもしれない」
と衝撃的な事例がずらずら。

第一章は「無縁多死社会の肖像」。
最初に、路上生活者などを援助するNPO法人の話。
そこには、一度路上生活者となりながらも、そのNPO法人で働くようになり、
やりがいも、社会とのつながりもでき、逝ってしまった時もその仲間に見送られ、
孤立死ではなかった明るい事例が取り上げられている。

しかし、その後の章はどれも重い。
遺品整理屋さんへのインタビュー、孤独死して発見が遅れた時の特殊清掃同行記、
ゴーストタウン化するニュータウンなど、無縁・多死社会が既に始まっている事を伺わせる内容。

第二章は「おひとりさまの行く末」

少し前、NKHの「助けてと言えない」を読んだ時、ホームレス化する30代が、
「自分が悪い、自分で何とかする」と内罰的だったのに驚いたが、
この本で取り上げられている30代は、私が元々持ってたイメージに近い。
「仕事が無いのは、生活が苦しいのは社会が悪い」と声をあげる人々だ。
そして、こういう人達の就労支援をしている人達の声は厳しい。
「どうにかして働く場所を見つけてあげても、人間関係、仕事が難しい、上司が嫌・・・
ちょっとした事で9割がすぐやめてしまう、本当に働く気持ちが無い、
働いた実績を作り生活保護をどうにかして受けようとばかりしている」という。

30代ホームレスにも、真面目に社会復帰しようとする人と、そうじゃない人、
2通りいるのかとも思うのが、9割がすぐ仕事を辞めているというのを聞くと、圧倒的多数が、
やる気が無いのか?
この本では「助けてと言えない」に出てくる人の自己責任発言も、
単なる「見栄による虚勢」だと手厳しい。

また現在30代~40代のひきこもりの人達(平均年令現在32歳で、年々上がっている)。
彼らの親が年金を払っていた為、多くのひきこもりは年金受給資格があるという。
それらひきこもりが大量に年金受給者になった時の問題も書いている。

第3章は「多死社会の介護と終末医療」について。
老人ホームなどでは、介護度が高くなったりすると退去しなければいけないタイプのものも多い。
そんな中、訪問介護、宿泊(ショートステイ)などの施設を備え、介護から看取りまでのサービスを
してくれる施設の紹介がされている。

後期高齢者の増加による医療費などの負担増の問題や、医者・看護婦・介護職員の人手不足問題も。

また、単身者が急増する中で、単身である事のリスクについても述べている。

第4章は「無縁・多死社会、衝撃のデータ」として、帯にあるような未婚率の増加予想や、
高齢化社会が進むにつれ、年金、社会保障費などがどれだけ増大するかなどの
データが掲載されている。

これを読む限り、現時点でこれから来る超超高齢者増の社会に対しての対応は、
ほとんどされていない気がする。
年金や介護保険の状況を見ても、確かにこのままでは将来破綻するのがみえている。

リーマンショックだって、サブプライムローンが破綻するというのは、
サブプライムローンができた時点で言われていた事だけど、避けられなかった。
多くの人に嬉しい、そして都合の良いローンだったからだ。

滅びる前に、自分たちの生活を見直せた文明はほとんど無い。
未来が大変だと言って、現状の生活を、より窮屈なものに変えるのは難しい。
自分の生活がすごく厳しくなっても、日本の将来のために、税金を大幅にアップしてもいい
という人は少ないだろう。
「有意義に使われるのか?」という政府への不信感が大きいのも理由だろうけど。
また、少子化少子化と叫ばれているけど、国の為に、子供を生むという人は、
戦時中までならともかく、現代にはほとんどいないだろう。

「無縁社会 ”無縁死三万二千人の衝撃」の感想でも書いたけど、
やっぱり自分で対策するしかないのかもしれない。

アメリカは、病気(盲腸などの病気でも)が原因で中流から貧困層に落ちる人が多いけど、
それは「自己責任」が原則の社会だからだ。
日本も、将来アメリカと同じように、老後困っても救済されにくい社会になってしまうかもしれない。
介護保険も年金もあてにできない未来。
アメリカは、貧困層を助けるセーフティネットが充実しているというけど、
日本の場合、それがとても弱いという。
これからの課題は、民間のセーフティネットをいかに発展させるかと、
いかに老後を公的支援に頼らず生きていくかの準備か??
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