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「山魔の如き嗤うもの」三津田信三著:六地蔵にまつわる童唄に添って起きる連続殺人事件・・ [本:ホラー&ミステリー]


山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)

山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2008/04/21
  • メディア: 単行本
7.3点

三津田信三の「伝奇ミステリー・刀城言耶シリーズ」。
このシリーズの他の本。
 厭魅の如き憑くもの (講談社文庫)
凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)
 水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)
 首無の如き祟るもの (講談社文庫)
密室の如き籠るもの (講談社ノベルス)

「◎」印は読んだ本(感想は「◎」をクリック)。

文庫版「山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)」も出てます。

「首無の如き祟るもの」の続編というか、舞台や登場人物が一部被ってます。

神戸地方の一集落に伝わる、三山を独りで辿って礼拝するという「成人参り」。
嫌々ながらも「成人参り」を行った郷木靖美は道に迷い、
地元で恐れられている忌山に入り込んでしまう。
誰もいない山中に響き渡る笑い声、頭上を飛ぶ怪しい影・・・・暗闇と恐怖の中、
忌山から脱出しようと足掻く靖美は、忌山の中に建てられた一軒の家に辿り着く。
そして、そこで暮らす一家と出会うが・・・。
翌日、どうにか下山できた靖美は、数々の恐怖その体験から心理的に不安定になってしまう。
靖美の従兄弟から、靖美の体験した事を解明し、彼を救って欲しいとの依頼を受けた刀城言耶は、
以前事件に巻き込まれた神戸地方を再び訪れる。
そこで再び事件が。
それも、六地蔵にまつわる童唄をなぞるような連続殺人事件が・・・。

このシリーズは、三津田信三の作品ではお馴染みの、ミステリー仕立ての伝奇小説。
オカルト要素がすごく強い事もあれば、ミステリー要素が強い事もある。
それがどちらなのかは、最期の謎解きまでわからない。

このシリーズ、回りくどい言い回しがあまりに多く、読むのがたるくなっちゃう事もあったんだけど、
この作品は、今までのこのシリーズの中では、回りくどさが軽減され、
かなり読みやすかったのが好印象。
いつもだとかなりページを割いている伝承関係のうんちくが少なかったのも理由かも。

導入部で語られる、靖美の忌山での恐怖体験は、伝奇ホラーの雰囲気満点で面白い。
その後わかってくる忌山の一軒家の秘密や、それにまつわる過去の事件、
そしてその事件との関連があると思われる連続殺人事件の発生と、
ストーリー展開も吸引力があり、最期のほうまで楽しく読めた。

伝承関係のうんちくが少ない分、伝奇ホラー的怖さが軽減されてたのは残念。
忌山の怖さも、伝承によるものより、忌山で過去に起きたという「6人の鉱夫失踪事件」に起因する、
不気味さにまつわる部分が大きかったし。
でも、過去の事件が発端ということで、ミステリーものとしての緊迫感はちゃんとあった。

相変わらず、刀城言耶の変な癖や、女性編集者との、変に明るいやりとりが浮いてたりはしたけど。
他の作品でも感じたけど、この著者、個性的なキャラクターを作るのがヘタ(^^;)。

最期の方のどんでん返しは、ちょっとくどすぎる気がしたけど、これもこのシリーズの特徴と言えば特徴。
伝奇ミステリーとして私は好きだけど、変なアクがあるので、読む人を選ぶ気がする。
それでも、このシリーズの中では、一般受けしやすい気が(^^)。
近い場所を舞台にして登場人物も一部だけど被ってる「首無の如き祟るもの」を
読んでいなくても、楽しめます。
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