SSブログ

「悪の教典 上・下」貴志祐介著:サイコパス教師の陰謀!・・・・狂気が見えない [本:ホラー&ミステリー]

悪の教典 上

悪の教典 上

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/07/29
  • メディア: ハードカバー

悪の教典 下

悪の教典 下

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/07/29
  • メディア: ハードカバー
4.5点

貴志祐介は、人間の心の闇に潜む狂気の怖さを思い知らせてくれた「黒い家 (角川ホラー文庫)」や、
SF・冒険エンターテイメントとして素晴らしい「新世界より」(リンク先感想)など、傑作を出している。
他にも面白い小説がいろいろ。

その著者が上下巻として出した本書「悪の教典」。
天才的な頭脳を持つサイコパスである主人公が、高校の教師に。
温厚で頼りがいがありユーモアにも溢れ、生徒達から慕われる主人公。
学園内での問題にもとりくみ、他の教師達からの信頼も厚い。
しかし、心の奥底では、どす黒い野望を持っていた。
野望達成のためには、手段を選ばず、邪魔者を排除する主人公。
高校は、生徒たちは、徐々に闇の中に飲まれていく・・・・。

つまんなかったです(-_-メ)!
「黒い家」や「新世界より」と同じ人が書いたとは思えないくらい。

上巻前半、良い人の仮面をかぶりながらも、徐々に自分の支配力を伸ばしていく主人公の行動や、
それに取り込まれていく周囲の様子は面白かった。

しかし、その行動がエスカレートするにつれ、主人公の思考の幼稚さ、計画の稚拙さ、
いきあたりばったり感、天才的頭脳を持つ・サイコパスであるという設定と、
彼の持つ野望のスケールの小ささ・設定との不整合感・・・・などが露呈。

物語の要である主人公のサイコパス的性格がうまく表現されておらず、
冷酷で普通の人とは違う精神構造を持っているというサイコパスの怖さ、狂気、不気味さが、
物語後半になるにつれどんどん感じられなくなるというスケールダウン感。

能力がありうぬぼれやプライドが高い男が、自分のやった悪行で、窮地に追い込まれ、
自暴自棄になってしまった男・・・って印象が残った。
幼少期の話などは、サイコパスを思わせるんだけど、後半の主人公から受ける印象がそんな感じ。

何でこんな出来が悪い話を貴志祐介は書いたんだろ?
今までの作品と比較して、やっつけ仕事・・・って感じを受けてしまった。

それでも、貴志祐介の作品なので、駄作ではなく、読めることは読めるのですが、
貴志祐介の作品だからこそ点数低め。
nice!(2)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 8

コステロ

タイトルもなんかありきたりですよね。
聖飢魔IIのベスト盤か何かですか?って(笑
by コステロ (2011-07-04 07:34) 

choko

コステロさん

「悪の教典」てタイトルから、私はカルト教団をイメージしてて、
洗脳して学校を信者でいっぱいに・・・なんて話かと思ってました。
実際はかなり違ったけど。

コステロさんは、「聖飢魔II」と来ましたか!(笑)
それはそれで、一部生徒には人気出そうですね~♪
そっちのネタの方が面白かったかも・・・って、それじゃ、
デトロイトメタルシティーになっちゃうか(^_^;)。
by choko (2011-07-04 18:26) 

SIVA

自分は、トンと本の世界から遠ざかっています。
ある日、職場の上司の机の上に置かれていて、
へえ、貴志祐介、こんなの書いたんだ。と、表紙をシゲシゲ眺め、
病院とか学校をイメージして、
ちょこさんと同じような内容、あるいは、
そういう信条を持った主人公がブラックな行動に走るのかな?
と思っていました。

本の持ち主の上司。
詳細は省きますが、…変な人です…。
やたら本を語り、人に本を薦める一面もあるんですが、
この本だけは嫌いだ!大嫌いだ!と騒ぎ始めました。
珍しいなと思っていたら、この本を読んだ同僚が寄ってきて

「この本読んだ?」と小声であらすじを教えてくれて、

最後に一言

「主人公、あの人そっくりだよ」

本よりも同僚の一言が怖かったです(涙)
by SIVA (2011-07-06 23:15) 

choko

SIVAさん

主人公そっくりな上司さんってどんな感じなんでしょ(^^;)。
人望が厚く天才的な頭脳を持ち、ダークな面は悟られない・・だったら、
主人公とそっくりという評価にはならないでしょうから、
ダークな部分、自己中心的な部分だけ似てるのかな??
そうだったら、怖いというより嫌かも(^^;)。
上司さんがこの本を嫌いなのは、自分の欲望が赤裸々に描かれている・・と思ったからでしょうか(爆)。

by choko (2011-07-07 01:03) 

SIVA

えー(笑)って、またレスします(笑)
外から見ると、一見ニコニコしてて、外面が良くて、
確かに仕事はできる方…かもしれません。
ダークな面を見破ってしまい、正面から対峙しましたので、
その後は時々ダークな面全開で開き直ってる感があります(笑)

他者が自分を自分が持つイメージ通りに受取らないと激しく拒絶。
他者に対して都合が悪くなると、他者を攻撃し始めます。

同僚が言うには、自分の思い通りに他者をイメージ操作して、
支配しようとするあたりが似ている。との事ですが、
ちょこさんの言う、「野望」が上司にあるとしたら、
外の社会における、
自己がイメージする自己の居心地の良い理想の場所を作ると言う野望?かも(笑)
それって、全ての人に対して、自我を殺して良い人であれば、
実現も可能かもしれないけれど、100%そうなるかと言うと、
世の中そんなに甘くないし、そんな我慢はできないだろうし(笑

多分、読んでいるうちに日頃の自分の行動を思い起こしつつ、
主人公に嫌悪感を感じながらも自己投影しちゃったんでしょうね(爆

by SIVA (2011-07-07 02:16) 

ufavan

コレ ちょっと期待してただけに残念です@@;
サイコパス物と聞いて、黒い家の感じを思い描いてたのになぁ

by ufavan (2011-07-07 08:12) 

choko

SIVAさん

なるほど、なるほど、他人を支配したがる傾向があるっていうの、
想像できます!!

>外の社会における、自己がイメージする自己の
>居心地の良い理想の場所を作ると言う野望?
これを読んで、今日友人から教えてもらった「偽善子ちゃん」を
思い出してしまいました。
100%周囲にいい人に思われるため、日々偽善に生きている女の子の4コマ漫画だそうです。
さすがにそれを実現するのは無理そうですよね(^^;)。

「悪の教典」を読んで、少しは上司さんの考え・態度も変わってくれたらいいですよね。
それなら、この本も出版された甲斐があったということで(笑)。

by choko (2011-07-07 19:48) 

choko

ufavanさん

そうなんですよ!
サイコパスなので「黒い家」みたいなのを期待しちゃいますよね。
でも、ダメダメでした~(>_<)。
「黒い家」のサイコパスの描写は素晴らしかったのに・・
ほんと残念!な本なのです。

by choko (2011-07-07 19:50) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。