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「拙者は食えん!サムライ洋食事始」熊田忠雄著:開国した幕末、初めて洋食を食べた侍達の感想は?? [本:歴史]

拙者は食えん!―サムライ洋食事始

拙者は食えん!―サムライ洋食事始

  • 作者: 熊田 忠雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/04
  • メディア: 単行本
7点

開国した直後の幕末。
それまで300年近く鎖国し、日本食しか食べたことが無かった、洋食なんて見たことも無かった侍達。
しかし、開国により、アメリカ、ヨーロッパに派遣され、欧米に向かう船の中で、異国の地で、
洋食を口にせざる得ない状況に。
その時、侍達は、初めて見る「洋食」をどう感じたのか?
それを、残された侍達の日記などから、詳細に調べ上げた本。

お米と魚と野菜、そして調味料は味噌、醤油、そういう物しか食べてこなかった侍たちにとって、
洋食の、肉、バター、パンなどは、臭くて、油っぽく、塩気が足りない、
「口にするにあたわず」という物だったらしい。

この本の場合、幕末の侍達にしぼって、日記に書き残された洋食の感想と、
食べた状況などが、ズラズラとまとめられている。
「面白い読み物」的な面より、狭く深い「データ集」という面の方が強いので、
前半は面白く読めたけど、後半は同じような記述が続くので、ちょっと飽きた(^^;)。

拒絶していたが、慣れるのが早かった者、どうしても慣れられなかった者、いろいろ。
「野菜が足りない・少ない」という記述が多いので、昔の日本人は野菜をたくさん食べてたらしい。
確かに、庶民にとって、通常は「お米+野菜」が食事で、「魚」は月2回ほどしか食べられない、
ご馳走だったらしいから、侍達も大量に魚を食べていたわけじゃないのだろう。

また「塩気が足りない」という記述がすっごく多い事から、少量のしょっぱいおかずで、
ご飯をかっ込むという、食べ方を日常はしていただろうことも、
裏付けられる(今のミャンマーみたいな感じかな)。
別の本で読んだけど、侍達のお米の消費量は半端じゃなかったようだし。

現代の日本人は、食に関しては好奇心旺盛で、いろいろな国の食物にチャレンジする方だと思うけど、
どーーーっぷり300年も鎖国していた侍達にとっては、現代の日本人が、東南アジアなどで
虫料理を出された時のように、見慣れぬものばかりで、拒否感も大きかったのだろう。
ただ、幕末を過ぎ、明治維新の頃になると、洋食が流行ったりしているので、
やっぱり食の文化に関する度量は広いのかも。
ドイツ人などは、同じ国でも、住んでいる地方で食文化に若干の違いがあり、
その差すら拒否するぐらい保守的だと言うし。

また、現代人の多くが美味しい美味しいと食べている洋食も、
視点を変えれば嫌悪するべきものなんだなーとも思った。
今は、日本食や醤油などの調味料は、欧米などで認知度が高くなってるけど、
「生で魚を食べるなんて信じられない」「日本は魚臭い」「味噌の臭いは酷過ぎる」
なんて評価が20~30年くらいまえだと、欧米人の日本への評価なんてので、取り上げられていたし。
海藻なんかは、いまだに「海のゴミ」と拒絶されることもあるようなので、
日本食を美味しい!と食べている欧米人は、どちらかというと、食への好奇心が強い方なのかも。

そういえば、すごく昔、半月ほどヨーロッパに滞在した時、一緒に行った友人は、
1週間前後で、油っぽい料理に悲鳴をあげてた。
でも、私は、全然オーケーで、あまり日本食が恋しいというのは無かった
(フライ系が油ギトギトで、衣はバリバリ、好みじゃなかったのは悲しかったけど)。
生まれ育った文化によって食の嗜好はかなり違ってくるだろうけど、やっぱり個人差も大きいんだろうな。

ということで、食の嗜好を、昔の日本人の視点から見ることにより、再考させてくれる本でした(^^)。
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コメント 2

コステロ

「どこの国に行ったのか?」も重要ですよね。
イギリスなんかは今でも「油っぽい、野菜少ない、塩気足りない」で、
私からすれば「口にするにあたわず」ですし(笑)、
当時のアメリカはイギリスのメシに近かったでしょうし。

『イタリア辺りに行った侍と、イギリスに行った侍との比較』
なんてのがあったら面白いかもしれませんね。

また『同じ国でも、住んでいる地方で食文化に若干の違いがあり、
その差すら拒否するぐらい保守的だ』と言うのは、
日本でも同じじゃないでしょうか。
関西人は関東風のうどんなんか、絶対に喰わないですから(笑
by コステロ (2011-11-29 13:33) 

choko

コステロさん

どこの国に行ったのかなど、国別比較もあるのですが、
最初に侍が行ったのがアメリカで、その時の情報があった為、
ヨーロッパでは、アメリカに行った時よりは日本人向けの考慮があり、
単純に比較できませんでした。
また、豪華もてなし料理がメインなので、国は違えど
似てる部分が多かったんじゃないかなーとも思えます。
またロシアでは、密出国していた日本人が指揮をとっていたため、
日本人じゃなきゃ作れない、完全に日本人好みの料理がでたようです。

関西人は濃い関東のうどん汁嫌がりますよね。
でも、関東人は関西風の味付けも平気な気が。
そういう意味では関西の人は保守的かもしれないですね~。
ただ、私の周囲の関西人は、何だかんだ言って、関東風のうどん、
食べてたから、
そこまで拒否感強くないのかなとも思ったりします(^^;)。
知ってる人の中に絶対許否って人いますが、
その人は、基本精進料理で、肉も食べないからなー←嗜好自体がものすごく狭い。
by choko (2011-11-29 21:11) 

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