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「伝説となった国・東ドイツ」平野 洋著:資本主義と社会主義、ものの考え方や価値観の違いが面白い! [本:歴史]


伝説となった国・東ドイツ

伝説となった国・東ドイツ

  • 作者: 平野 洋
  • 出版社/メーカー: 現代書館
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 単行本

7.3点

最近のドイツは、ヨーロッパ随一の経済大国。
でも、いまだに旧東ドイツと旧西ドイツを比べると、旧東ドイツの失業率が高かったり、
ネオナチの活動が活発だったり、経済・意識格差はあるよう。

元々同じ国でありながら、社会主義と資本主義に分けられていたドイツ。
統一ドイツに関しては、西側からの視点の物が多い中、これは東ドイツに留学経験がある著者による
東側からの統一に対する視点を扱っていて、読んでいてとても新鮮。
元々同じ国だったドイツが東西に分断されて50年。
その間に、ドイツ人の価値観には大きな違いができてしまった。

西側から見た視点というのは、同じ資本主義国家という事で、わかりやすいし、納得できる。
そして、東の人間の行動というのは不可解だ。

例えば、お店に何かを注文する。
それも、お店にとってかなり儲けがでる注文だ。
資本主義であれば、ありがたい話だ。
ところが以前は社会主義であった東ドイツのお店は全く違う。
注文の通りには何度言ってもやってくれないし、文句を言うと、
「そんな面倒な事はやりたくないから、別の店に行け!」と言ってしまう。

西(資本主義社会)の人間から見れば、信じられない対応だ。
でも、東(社会主義)世界に生きて来た人間にとっては、普通の対応だったりする。
すると、西側の人間は、東の人間は怠惰でやる気が無い、と評価を下す。
今まで読んだ本は、この視点で描かれていたが、この本は、
そういう対応をする東側の人の価値観にも触れているのが面白い。

旧東ドイツの人は、旧西ドイツの人に、「資本主義になって良かっただろう」と問われる。
資本主義になって良かったことは、もちろんたくさんあるので、旧東ドイツの人は肯定する。
でも、「東ドイツの体制だっていいところがあった」ということは、旧西ドイツの人は認めようとしない。
そんな、旧東ドイツの人々が感じる、東ドイツの良かった点などについても書かれている。

先日、テレビでやっていたウクライナの取材でも、ソ連時代に比べて物質は豊かになったが、
生活は苦しくなったというようなインタビューの答えがあった。
富める者は豊かになったが、そうでないもの、特に年金などで生活している人達は、
突然の競争社会に翻弄されている。

10年ほど前の本なので、今のドイツの現状も知りたい。
この本が書かれた頃と比べて、また意識の変化があったのか興味がある。
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コメント 2

コステロ

『そんな、旧東ドイツの人々が感じる、
東ドイツの良かった点などについても書かれている。』

とあったので

『例えば~』

などと、いくつかの引用がなされると思ったら、
ここでおしまいなんですね(笑

実際に読む気はないケド、「元東独の人が挙げる旧東独良さ」
と言うモノには興味があるので、チョと残念。
by コステロ (2012-07-07 08:39) 

choko

コステロさん

あはは、いつもなら引用少ししますもんね~!
実は、引用をいくつかする前に、図書館に返してしまったのでした(^^;)。
返却期限ギリギリになっちゃったもので。

職場で誕生日をお祝いしたり(仕事中に)、
失業が無かった事(統合後大量の失業者が出た)、
女性の地位が高かった事など、でした。



by choko (2012-07-07 11:49) 

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