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「災園」三津田信三著:災いをもたらす狐が憑いているのか?オカルトミステリー! [本:ホラー&ミステリー]

災園 (光文社文庫)

災園 (光文社文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/09/09
  • メディア: 文庫

7.3点

三津田信三の「禍家」(リンク先感想)「凶宅 (光文社文庫)」に続く、
家シリーズ3作目。

2作目「凶宅」は評判がイマイチだったので未読。
3作目の「災園」を読んだ勢いで、今度読むつもり。

どのシリーズも、子供が主人公で、「家」がテーマ。
子供であることの無力さ、弱さが、より恐怖感を煽るものに。

家の裏に祀られていた狐の祠。
いつもそこで遊んでいた奈津江は、脳裏に不思議な声が聞こえるように。
その声により「失せ物探し」で少し有名になった彼女。
しかし、彼女は、幼くして両親を次々に亡くしてしまう。
そこに現れた実姉と名乗る深咲に連れられ、実父が経営するという「祭園」に引き取られる事に。
「祭園」には、訳ありで親が育てられない子供たちが集められていた。
そして、そこには、廃墟と化した「廻り家」と呼ばれる祈祷所が・・・。
奈津江を、災いを呼ぶ者として忌み嫌う祖母寅。
奈津江は、本当に災いを呼ぶ者なのか?
奈津江の、出生の秘密とは?
彼女が来たことで「祭園」は、「災園」となっていくのか・・・・。

オカルト色の強いミステリー。
ストーリーメインで見ると、怪奇現象と現実の出来事を融和させる為、
どうしてもご都合主義的な部分や、腑に落ちない部分が出てしまう。

でも、このシリーズの醍醐味は、「家の恐怖を存分に味わう事!」だと思う。
映画「呪怨」など、「呪いの家」が舞台になっていると、呪われた家の中で過ごしたり、
家の中を探索したりするシチュエーションは、何も出てこなくても怖いし、
何かが出そうな雰囲気があったりすると、ドキドキしてしまう。

この話も、祈祷所として使われていた「廻り家」の中の描写がすっごく怖い。
三津田信三は、伝奇小説の持つ陰惨な雰囲気や、恐怖感を煽る下地を創り上げる事、
そして恐怖シーンの描写、どれも上手いので、背筋が寒くなる気分を存分に味わう事ができます。

ということで、綿密に計算されたミステリーを期待する人には不向き。
ミステリー仕立てのホラーを楽しみたい人なら、楽しめるはず♪
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コメント 2

コステロ

なかなか私の好みに合いそうな作品ですね。
メモを片手に本屋にダッシュしたいところです(笑

そう言えば先日、東野圭吾の『ダイイング・アイ』と言う、
これまたやはり、オカルト色の強いミステリを読んだんですが、
なんせ「探偵ガリレオ」などの著作がある東野ですから、
たとえ超常現象と言えるような事柄が起こっても、
後々論理的な説明がなされるんだろうな、と思っていたら、
結局その辺はそのままで、読み終えた後にやっと
「オカルトの要素が入った作品だったのか!」と気付かされました(笑
by コステロ (2012-03-10 09:21) 

choko

コステロさん

きっちりしたミステリーが好きかと思っていたのですが、
この手のオカルトミステリーもお好きでしたか(^^)。
「家」シリーズの中では、一番最初の「禍家」が一番お勧めです♪

何か強い思い込みがあってずーーーーーっと読んでて、
読了後に違うことに気がつく・・・ってありますよね~(笑)。
これって、途中で気がついた方が、面白いような気がするんですが、
「いつになったら自分が思ってた展開になるのか」って期待しながら
読むのも、場合によってはいいのかもですよね。
下手すると、気がついた時点で興ざめしちゃう可能性もあるし。

by choko (2012-03-10 19:48) 

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