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「かくも水深き不在」竹本健治著:ホラーでもありミステリーでもある短篇集。まとまりが秀逸ですごい! [本:ホラー&ミステリー]

かくも水深き不在

かくも水深き不在

  • 作者: 竹本 健治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 単行本

8点

「何の気なしに手にとった一冊が、すっごく面白かった!」
こういう時って、期待していた本が期待通り面白かった時より、嬉しいし、心踊ります♪
そして、この本も、そんな嬉しさを味あわせてくれた一冊(*^.^*)!

・「鬼ごっこ」:見られた者が鬼と変貌する・・子供の頃、友人達と迷い込んだ奇怪な館で味わった恐怖。

・「怖い映像」:TVCMの何気ないワンシーンが、自分に底知れないほどの恐怖を感じさせる・・
その理由を探りたどり着いた結末とは?

・「花の軛」:一目惚れした、花のように可憐な笑顔の花屋の娘。
ストーカーに付きまとわれる彼女を助けようとした男が陥った悪夢とは?

・「零点透視の誘拐」:大物芸人の10歳の娘が誘拐される。
犯人の周到な計画に、振り回され為す術も無い警察。
しかし、その誘拐事件は不可解な状態で幕を閉じた・・その背景にあったものとは・・・。

ゾッとするような怪奇体験、記憶の底に封印された恐ろしい記憶、盲目的な恋心の恐ろしさ、
謎が謎を呼ぶ事件・・・それら4つの怪しい物語は、精神科医天野が患者から聞いたもの。
精神科医天野が、患者たちの心の迷いを、闇を紐解こうとするが、その結末は・・・。

ホラーテイストの物は恐怖感たっぷりに、ミステリー仕立てのものは意外な展開が新鮮で、
どの短編もそれぞれ単独で十分楽しめるし、その上、精神科医天野という存在を通じて、
しっかり一つにまとまっていて、2度楽しめる構成になってます。
ストーリーテラーとしてや文章の上手さにも、構成の上手さにも脱帽。

いやー、いい本に巡りあってしまった。
この作者は他にも評判が良い本がいくつかあるので、代表作「匣の中の失楽」とか、
閉じ箱 (角川ホラー文庫)」を読んでみようと思います。

お勧め(^-^)ノ!
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コメント 2

コステロ

前回と違って、評文にも力強さが感じられますね(笑
私も読んでみたいと思いました。

・・・ってまぁ、前回のも前回ので、
却って「読んでみたい」と思いましたが(笑
by コステロ (2012-09-14 09:15) 

choko

コステロさん

「虫送り」を読んだ直後にこちらを読んだので、その落差のあまり、
目の前に理想的な世界が広がった気がしましたよ(笑)。
同じホラーでも、ここまで違うものなんだと。

で、「虫送り」ですが、とんでも部分がメインならある意味お勧めなんですが、
途中、アイヌの伝統だ食文化の歴史だ、過疎の村の現状だと、
くどくど語ってる部分が多くて、ダレるんですよ。
本当の事も入ってるとは思うんですが、感想に書いた通りの状況なので、
語られていることが胡散臭すぎて、邪魔なだけになってます(^^;)。
by choko (2012-09-14 22:54) 

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