「面白いほどよくわかる 世界の宗教 宗教の世界」ひろさちや著:仏教の視点から宗教を語る [本ノンフィクションいろいろ]
7点
著者は元々仏教に関して研究し、仏教の思想を本などでわかりやすく広めている人。
宗教を「立派な人間になる為ではなく、人間らしい生き方を教えるもの」と定義している。
この本では、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教(大乗・小乗)、
神道、儒教などについてその成り立ちや教義、そして違いに関してわかりやすく語られているが、
視点は仏教の立場から。
その辺、かなり偏りがあるので(最初に著者もその点を断っている)、
違和感を感じる人もいれば、そういう見方があるのかと面白がれる人もいたり、
評価がわかれるかも。
仏教の教えの入門書的な意味合いも大きい。
それでも、自分が思ってもいなかった視点から物事を眺めるというのは、
新しい発見があったりして、なかなかおもしろかった。
「民族宗教」である「ユダヤ教」と「ヒンドゥー教」(インド人が多民族なので、あまりその特色は強くない)、
民族宗教を脱したことで全世界に広まった「キリスト教」。
「宗教を信じる事」とはどういう事なのか。
言葉を大切にする「言霊信仰」の「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」、
神への讃歌(祝詞)を道具とする「バラモン教」、言葉を重要視しない「仏教」。
教義が法でもある為政治と一体化しやすい「イスラム教」「ユダヤ教」、
政教分離の「キリスト教」「仏教」。
それぞれの宗教の死後の世界観。
現代の日本の仏教を「葬式仏教」と言い切り、その問題点を指摘したり。
大乗仏教と小乗仏教に関しては、大乗仏教支持の視点で書かれているが、
仏教の教えをわかりやすく解説していて、参考になった。
「智慧」と「知恵」。
人間が持っている「知恵」は分別智。
「雑草」と「園芸花」のように、勝手に区別し優劣をつけることは、幸福になれないという。
自分が優等生になったとしても、それは誰かが劣等生になるということだと著者は言う。
仏教では物事を区別せずあるがままに見る「無分別智」を教えるという。
仏道の歩み方を示した六波羅蜜の紹介では、「人に迷惑をかけない」は道徳で、
「人は他人に迷惑をかけずなければ生きられない存在だ」が宗教の教えだととく。
「人に迷惑をかけない」という考えは、「自分は迷惑をかけていない。あの人は迷惑をかけている」と
人の優劣を判断する事になるという。
少し前から「負け犬」など、人生を他のとの比較で勝ち負けで判断する風潮が強いけど、
それに比例して「自分を不快にさせる人間を許せない人」(自分はちゃんとやって迷惑をかけていないと
自負している人がほとんど)が増えているのは、この辺りの心理なのかな?
日本も無宗教の国だけど、神社にお参りしたり、お葬式は仏教式が多かったり、
完全な無宗教だと自分は思っていなかったんだけど、この本を読むと、
やっぱり「無宗教」なのかも・・とも思った。
現在世界的にも、無宗教である人の割合がすごく増えているという。
著者が言うように「のんびり・焦らず・人間らしく生きる」というのが宗教の定義であるのなら、
豊かに生きる為に、人を押しのけ(意図しなくても、自分が豊かになれば、豊かじゃない人もでる)、
あせくせと働くことを良しとする価値観の広がり(グローバル化によって進んでいると思う)と、
無宗教の広がりは関係しているのかもしれない。
仏教的視点が強いけど、興味深く読めた本でした♪
著者は元々仏教に関して研究し、仏教の思想を本などでわかりやすく広めている人。
宗教を「立派な人間になる為ではなく、人間らしい生き方を教えるもの」と定義している。
この本では、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教(大乗・小乗)、
神道、儒教などについてその成り立ちや教義、そして違いに関してわかりやすく語られているが、
視点は仏教の立場から。
その辺、かなり偏りがあるので(最初に著者もその点を断っている)、
違和感を感じる人もいれば、そういう見方があるのかと面白がれる人もいたり、
評価がわかれるかも。
仏教の教えの入門書的な意味合いも大きい。
それでも、自分が思ってもいなかった視点から物事を眺めるというのは、
新しい発見があったりして、なかなかおもしろかった。
「民族宗教」である「ユダヤ教」と「ヒンドゥー教」(インド人が多民族なので、あまりその特色は強くない)、
民族宗教を脱したことで全世界に広まった「キリスト教」。
「宗教を信じる事」とはどういう事なのか。
言葉を大切にする「言霊信仰」の「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」、
神への讃歌(祝詞)を道具とする「バラモン教」、言葉を重要視しない「仏教」。
教義が法でもある為政治と一体化しやすい「イスラム教」「ユダヤ教」、
政教分離の「キリスト教」「仏教」。
それぞれの宗教の死後の世界観。
現代の日本の仏教を「葬式仏教」と言い切り、その問題点を指摘したり。
大乗仏教と小乗仏教に関しては、大乗仏教支持の視点で書かれているが、
仏教の教えをわかりやすく解説していて、参考になった。
「智慧」と「知恵」。
人間が持っている「知恵」は分別智。
「雑草」と「園芸花」のように、勝手に区別し優劣をつけることは、幸福になれないという。
自分が優等生になったとしても、それは誰かが劣等生になるということだと著者は言う。
仏教では物事を区別せずあるがままに見る「無分別智」を教えるという。
仏道の歩み方を示した六波羅蜜の紹介では、「人に迷惑をかけない」は道徳で、
「人は他人に迷惑をかけずなければ生きられない存在だ」が宗教の教えだととく。
「人に迷惑をかけない」という考えは、「自分は迷惑をかけていない。あの人は迷惑をかけている」と
人の優劣を判断する事になるという。
少し前から「負け犬」など、人生を他のとの比較で勝ち負けで判断する風潮が強いけど、
それに比例して「自分を不快にさせる人間を許せない人」(自分はちゃんとやって迷惑をかけていないと
自負している人がほとんど)が増えているのは、この辺りの心理なのかな?
日本も無宗教の国だけど、神社にお参りしたり、お葬式は仏教式が多かったり、
完全な無宗教だと自分は思っていなかったんだけど、この本を読むと、
やっぱり「無宗教」なのかも・・とも思った。
現在世界的にも、無宗教である人の割合がすごく増えているという。
著者が言うように「のんびり・焦らず・人間らしく生きる」というのが宗教の定義であるのなら、
豊かに生きる為に、人を押しのけ(意図しなくても、自分が豊かになれば、豊かじゃない人もでる)、
あせくせと働くことを良しとする価値観の広がり(グローバル化によって進んでいると思う)と、
無宗教の広がりは関係しているのかもしれない。
仏教的視点が強いけど、興味深く読めた本でした♪
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