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「ダニ・マニア-チーズをつくるダニから巨大なダニまで」島野智之著:ダニのあれこれがわかるけど、一部掘り下げ過ぎの感も [本ノンフィクションいろいろ]

ダニ・マニア―チーズをつくるダニから巨大ダニまで

ダニ・マニア―チーズをつくるダニから巨大ダニまで

  • 作者: 島野 智之
  • 出版社/メーカー: 八坂書房
  • 発売日: 2012/12
  • メディア: 単行本
7点

少し前「殺人ダニ」(昔からあった病気で原因がはっきりしただけという記事も)が
巷を騒がせましたが、感染症を媒介しないとしても、やっぱりダニって何か気持ち悪い。

以前、藤田紘一郎氏の書いた寄生虫の本を読んで、寄生虫が気持ち悪いながらも、
若干親しみも持てるようになったし、その功罪両方について知ることができたので、
今回はダニの本を読んでみました。
ちなみに、藤田紘一郎氏の本で読んだのは「体にいい寄生虫」(リンク先感想)、
笑うカイチュウ (講談社文庫)」「空飛ぶ寄生虫 (講談社文庫)」等。
どれも、寄生虫への愛!が溢れてます(笑)。

で、まず、意外だったのが、ダニを研究している著者が、「ダニを研究している」事を、
ちょっと隠したいと思っていること。
確かに、周りは引きますからね(^^;)。
でも、もっと周りが引きそうな寄生虫研究の藤田紘一郎氏は、そんなこと微塵も感じさせず、
「寄生虫の素晴らしさを世の中に広めたい!」「寄生虫ラブっ!」って感じだったし、
ふしぎな生きものカビ・キノコ―菌学入門」(リンク先感想)を書いた菌の
研究者ニコラス・ マネー氏も同じ印象だったので、研究者というものは、
何を研究していようと平気なんだ・・という思いは違ってたことを知りました。

で、この本を読むと、ダニのことが確かによくわかって、よい入門編になってます(^^)。
多くは目に見えないほど小さい事、種類はものすごく多く、日本には1800種ほど。
その中で吸血などするダニは1%。
ダニのいない環境は無く、森などでは、1m2に2万から10万個体もいるという。
また、和名は「フリソデダニ」「マイコダニ」「コシミノダニ」とかなり面白い名前のものが
多いのもわかった(命名した人のセンスらしい)。

ダニが蜘蛛の仲間だったというのは、ある意味納得。
蜘蛛に感じる気持ち悪さをダニにも感じるから。
大きいのは見た目が苦手(血を吸って巨大化したマダニとか)、小さいのは体が
柔らかくてつかむところがない、はらおうとすると潰しちゃう・・って事で、
蜘蛛は嫌いなんだけど、ダニも同じ感じだし。

外でたまに見かける赤いダニっぽい虫は、やっぱりダニで、カベアナタカラダニかハモリダニらしい。

細菌やウィルスがどこにでもいる!!ってのは受け入れられるのに、
ダニがうじゃうじゃいるというのを受け入れられないのは、一部目に見えるダニがいて、
それを見た時の嫌悪感を、見えないダニにも感じてしまうからかも。

もちろん、ダニを研究する著者は、逆に、ダニで熟成する「ミモレット」を、生きたダニ付きで
買えてすごく喜んだり、わんさかその辺にいるダニを想像してうっとりしたり
(ササラダニがたくさんいそうな落ち葉の上に腹ばいになって、ダニの目線で
落ち葉を眺めているのが至福の時だそうだ)、さすが「ダニ研究者!」という、
ダニへの愛を本書のあちこちで語ってくれますが(^^;)。
そういえば、生きたウジがついてる「カソ・マルツゥ」というチーズがあるけど、
さすがに畑違いだから、こっちは喜ばないかな??

で、中盤からは、著者が研究している「ササラダニ」に関する記述が、ものすごく詳しく語られてます。
ササラダニの生態、生殖、種類だけじゃなく、体や足の詳細な構造とか、
自分にとってはちょっと詳しすぎの内容ではあったんですが、それでも、種類も個体数もとても多く、
落ち葉などを粉砕し、菌を食べ、生態系の分解者として重要な役割を担っているササラダニに関して
知ることができたのは、面白かったです。
著者のように、「愛」を感じるまでには行きませんでしたが(^^;)。
ササラダニは、ダニには珍しく硬い殻を持ち、動きは恐ろしく遅く、落ち葉などを食べながら、
のんびり生きているようで、ちょっとだけ親しみも。

付録には、「観察の為のダニの三枚おろしの方法」なんていう、ほんとうにマニアックな説明まで。
ササラダニに関して、本の半分くらいを締めてしまっているのが、ちょっと残念だったけど
(もっと別のダニについて知りたかった)、それでも、ダニについてわかりやすく解説してあり、
面白く読めました♪

ダニに興味がある方にお勧め(^-^)ノ。
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コメント 6

コステロ

読んでて体がかゆくなりました(笑


それにしても『ダニに興味がある方に~』って・・・(笑
by コステロ (2013-05-02 09:29) 

choko

コステロさん

そうそう、読んでムズムズしたい気分になりたい人にもお勧め(笑)。

>それにしても『ダニに興味がある方に~』って・・・(笑
そう突っ込まれると思って、何か書こうと思ったんだけど、
思いつきませんでした(笑)。

これを機会にダニに興味を持つってのも、きっと新しい世界が
開けますよ~(笑)。
自分の剣道の防具にもきっとダニ・・・うっとり・・
とか(笑)。
by choko (2013-05-03 00:29) 

mite man

「おすすめ」の7点を頂き有り難う御座います.
「読んでムズムズしたい気分になりたい人にもお勧め(笑)」まさに著者の意図したところです.
 光栄です.著者.
by mite man (2013-09-01 10:52) 

choko

mite manさん

おお、著者様ご本人からのコメント、ありがとうございます♪
「読んでムズムズさせたい」という意図もあったとは、
恐れいりました(笑)。

身近にいるはずなのに、ほとんど知らない、
一部知識だけが突出している(ダニに噛まれると恐ろしく痒い等)
ダニについて、いろいろ知ることができて、
とても参考になりました(^^)。

日向で赤いダニを見かけると、いつもこの本を思い出します。
赤いダニは、刺さないとわかった後でもやっぱり苦手ですが(^^;)。

これからも研究、頑張って下さい!
by choko (2013-09-01 23:39) 

mite man

有り難う御座います.
これからも,可愛いダニたちを,どうぞ宜しくお願い致します.
by mite man (2013-09-06 12:22) 

choko

mite manさん

こちらこそ、コメントありがとうございます♪
また、ダニたちへの愛があふれた本でお目にかかりたいです(*^.^*)♪
by choko (2013-09-07 00:12) 

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