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「あるこーる白書」吾妻ひでおと西原理恵子による、アル中対談本。「アル中は病気!」と真面目に訴えている本でもある。 [本ノンフィクションいろいろ]

実録! あるこーる白書

実録! あるこーる白書

  • 作者: 西原理恵子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
8点

アルコール中毒で、入院、失踪、浮浪者生活までした吾妻ひでおと、
アル中であった夫鴨志田氏と離婚、その後鴨志田氏が末期がんとわかり、
和解し、最後を家族で看取った西原理恵子の対談集。

実際は2人ではなく、もう一人「月乃光司」という人が加わっており、3人の対談なんですが、
吾妻ひでおの「失踪日記」(リンク先感想)と西原理恵子の「毎日かあさん
(リンク先9巻の感想)を読んでいれば、すごく面白く読める一冊。

2人の本来の舞台である「マンガ」ではなく、対談で語られるアルコール依存症の現実は、
マンガのネタとして使えなかったのがわかる、かなり重く苦しい内容、真面目な内容が多く、
また詳細まで語られていることも多く、アルコール中毒の症状や治療、病院の様子(入退院を
繰り返す人も多いとか)、他のアルコール依存症患者などについても語られているので、
アルコール依存症に関して、より詳しくわかる内容になっている。

西原理恵子が離婚直前、アル中である鴨志田氏の精神的DVにより心を病んでいた
ことなども語られるし、鴨志田氏のアルコール依存症での問題行動や、和解してからの事、
鴨志田氏のアルコール依存症の治療経過などが、マンガより詳しく書いてあるので、
とても興味深かった。

「失踪日記」「毎日かあさん」の裏側がわかるのと同時に、
「アルコール中毒は本人が自堕落なのではなく、病気である」という言葉が、
何度も繰り返されていたりと、アルコール中毒の現実を、世間に知ってもらおうという、
アルコール中毒啓蒙本にもなっている。

自分は大丈夫だと思っていても、その前段階(黄信号)であり、日本人では数百万人はいるという
「プレ・アルコホリズム」の判断基準、アルコール依存症の完治率、
治ったと思っても、たった一口、場合によっては「酒蒸し」など、料理に入っているお酒でも
再発してしまう可能性があるという現実、知らなかったアルコール依存症の姿がよくわかる。

お酒を飲むためなら、なんでもする心理になってしまう「アルコール依存症」。
アルコール依存症であった吾妻ひでおや月乃光司本人が、アルコール依存症時の、
「普通ではない心理状態」を語っている。

そして、本人だけでなく、周囲をも不幸にするアルコール依存症の怖さ。
アルコール中毒患者の周囲には、本人を助けるつもりで助長者(イネーブラー)になって
しまう人が多いという。

アルコール依存者の家族が、依存者が暴れた酒屋や迷惑をかけたところに謝りに行ったり、
弁償したりする、汚物まみれで失禁している依存者を介抱してあげる・・・
家族なら誰でもやってしまうことだが、依存者の尻拭いをしてあげる、
これが、アルコール依存症患者をつくりだしてしまう、
より酷いアルコール中毒にしてしまう・・・・という現実。
その上、本人は、「自分の意志ではどうにもならない病気」な状態なわけで、
それに振り回されつつ、それを助長してしまう立場にも立つ家族の辛さ・・・
そういうものも伝わってくる。

「失踪日記」「毎日かあさん」が好きな方にお勧め(^-^)ノ。
できれば両方、少なくても一方は読んでる人に。
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