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『今こそ知っておきたい「災害の日本史」』岳真也著:「奈良の大仏」があるのは大地震も要因。日本の歴史と災害の関係がわかる!面白い(〃∇〃)! [本:歴史]

今こそ知っておきたい「災害の日本史」 白鳳地震から東日本大震災まで (PHP文庫)

今こそ知っておきたい「災害の日本史」 白鳳地震から東日本大震災まで (PHP文庫)

  • 作者: 岳 真也
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2013/06/05
  • メディア: 文庫

8点

「東日本大震災」が起きた時、1000年以上前、869年に起きた「貞観地震」が取り沙汰された。
三陸沖で起きたM8.3以上の地震だ。
歴史は繰り返す。
南海トラフ巨大地震も、1707年の「宝永地震」、1855年の「安政地震」、
1946年「昭和南海地震」他、90年~150年間隔で起きている。

この本は、文献を紐解き、684年の「白鳳地震」から、2011年「東日本大震災」まで、
日本を襲った地震・台風・噴火などの災害と、それらの当時の政治・経済などへの影響を考察した本。

この本を読むと、いかに日本が災害が多い国かがわかる。
もう、どっかんどっかんと地震(これが一番多い)だ、台風、噴火だと、災害が起きている。
あまりにたくさん置きているので、日本史で有名な出来事の前後にも、
頻繁に大災害が起きていることが多い。
1600年関ヶ原の戦いの4年前1696年に起きた「慶長伏見地震」は豊臣政権とどめをさし、
1605年に起きた「慶長東南海地震」も、その後の江戸幕府のあり方に大きな影響を与えているだろうと
著者は推測している。

1782年「天明の大飢饉」1783年に起きた「天明浅間山大噴火」1786年「天明の洪水」と
立て続けに災害が起き、重商主義をとった田沼意次の改革に大きなダメージを与え、
結局、改革は頓挫している。

被災した人々は苦しみ、その立て直しの為、政府は財政難になったり、
為政者が自分たちの復興に奔走し、民衆の救済を蔑ろにしたために、求心力が弱まったり、

経済の低迷が社会を不安定にしたり、災害が、その政府の寿命を短くしたりする。
関東大震災による長く続く不景気が、第二次世界大戦の1つの要因であったりもする。
また、「東日本大震災」と民主党・自民党の関係を見てもわかるように、
大災害がきっかけで、政権は大きく揺らいだ。
きっと、この時、自民党が政権を持っていても、同じように政府への不信感が渦巻いた可能性も高い。
大災害の国政への影響の大きさは、この例を見ても、明らかだ。
逆に、歴史の中では、被災地の復興に尽力し、その地盤を固めた勢力もあるが。

これだけ災害が起きているのに、学校で習う歴史では、「関東大震災」くらいしか
しっかり扱わない為、災害と日本史の関係を知ることができるというのも、新鮮で面白い。

例えば、奈良の大仏。
これを作った聖武天皇は、大仏を、平城京ではなく、近江の紫香楽宮にしようと考え、
都も「難波京」「紫香楽宮」「恭仁京」の3つに置く「複都構想」を持っていたという。
しかし紫香楽宮に大仏を作っている最中、M7.9の地震が紫香楽宮を襲い、大仏の工事は続行不可に。
失意の中、平城京に戻った聖武天皇は、改めて奈良に大仏を作ったらしい。

明治時代に起きた「会津磐梯山」の大噴火は、新聞などで全国的に報道され、
多くの人々の同情を集め、戊辰戦争で負け「賊軍」というイメージが強かった会津に対して、
人々のイメージを一新したという。
また、災害医療派遣、災害ボランティアの初のケースでもあるという。

日本史を飛鳥時代から、現代まで、災害と照らしあわせて語っているので、内容は膨大。
先にあげた「貞観地震」などの巨大地震、江戸時代の「富士山の大噴火」、「桜島の大噴火」、
昭和に入っての「室戸台風」や「伊勢湾台風」など、様々な災害とその影響を伺い知れる内容な上、
ちょっとやそっとじゃ紹介しきれない(ある意味、飛鳥時代以降の、日本史全史だし)歴史が
詰まっていて、読み応えもあり、知らなかった事、盛りだくさん!
今まで知っていた日本史を別の角度から見ることもできるという、
とてもおもしろい内容になってます♪

また歴史を追う事で、同じような災害でも、前の経験が役に立たない例もいくつもあるのもわかる。
特に津波は同じ場所でも、その都度様子が違い、前に起きた大津波が、
到達するまで時間がかかった為、それを教訓にしていた人達が、
地震後すぐに到達した津波に飲まれて亡くなったり、前の例があてにならないケースも多い。

内容ぎっしりで参考になるし、ためにもなる、とてもとてもお勧めの本(^-^)ノ。
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