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「認知症明日へのヒント」読売新聞「認知症」取材班:高齢の女性の発症率80%以上、他人ごとでは無い認知症。診断を受けた時人はどういう道を歩むのか。 [本ノンフィクションいろいろ]

認知症 明日へのヒント - 800万人時代を共に生きる

認知症 明日へのヒント - 800万人時代を共に生きる

  • 作者: 読売新聞「認知症」取材班
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/02/07
  • メディア: 単行本
7.8点

高齢化に伴い、どんどん増えつつある認知症。
世界的も問題になっているが、高齢化が進む日本では、特にその問題は大きい。
80歳以上だと発症率は、4人に1人とか3人に1人とか言われていたけれど、
この本に載せられている研究結果だと、65歳~69歳では3%なのが、
85歳~89歳では41%、95歳以上では80%。
特に女性の場合、男性が高齢になっても発症率が60%前後なのに比べ、
年齢が上がるほど発症率は増え、80代後半には60%~70%、
90歳代には80%近くという数値になっている。

長寿高齢化に伴い、認知症は、他人事ではない、いつか自分もなる可能性が非常に
高い病気だということを、強く実感しなければ、いけない病気だとも思う。
というのも、自分が認知症だと決して認めず、周囲が進めても病院には行かず、
治療が遅れるケースが、すごく多いからだ。
最近増えている独居老人の場合、身内の協力が期待できず、かといって行政が強制的に
介入もできず、本人も危険な状態、その上近隣の人が困っているというケースも
増えてきてるようだし、これからはもっと増えるだろう。
治療が早ければ予後も良いことが多いし、完治しない病気だとしても、進行を遅らせることが
できる可能性も高い。

この本では、世界各国の認知症患者への取り組み、現在の認知症医療の現状、
若年性アルツハイマー病と診断された人たちのその後の生活、
認知症と診断された高齢者へのサポートなど、家族の気持ち・対応・・・etc、
「読売新聞認知症取材班」が著者になっているのが納得な、
いろいろな事例が載っていて、とても参考になる。

認知症と一口にいっても、症状も1人1人違うし、元々の性格の影響も大きい。
また周囲にどれだけサポートしてくれる人がいるかでも全く違う。
なので、数多い事例を知るということは、この後の指針を考えるためにも、参考になる。

若年性アルツハイマー病と診断された男の人は、それにより仕事を失ったあと、
ひきこもり状態になってしまうことが多いらしい。
そこからどうやって立ち直ったのか?

また認知症と診断された人々や、家族の思いなども語られている。

1人暮らしの認知症の高齢者を、どう周囲がサポートしているのか?
認知症を発症した後の、財産管理の問題は?
なども、語られている。

町ぐるみで、認知症の高齢者をサポートしたり、家族が周囲の商店などに協力を依頼して、
認知症になった家族が、今までとあまり変わらない生活を続けられるよう、努力しているケースもある。

また、テレビドラマ等で見かける、「周囲の状況がわからなくなった認知症患者」というのが、
いかに現実から乖離しているのか、その点の説明も多い。
認知症を発症したとしても、かなりそれが進んでいるとしても、感情など、多くの部分は
元のままである。
周囲からおかしいと思われる行動にも、ちゃんと理由があったりするし、人の言葉や態度に、
より敏感に傷ついたりもする。
かなり進んだ認知症の人と会話をしたとしても、認知症だと気が付かないことも多い。
何度か接していると、辻褄が合わないことを言ったりして、あれれ?と不思議に思う、
そんな感じ。
でも、感情などの制御などはききにくくなるので、周囲の対応が悪かったりすると、
ストレスが溜まる環境にいると、問題行動を次々に起こしたりもする。
そういう、認知症患者への理解の入り口にもなる本である。

事例集的なので、一つのことを深く掘り下げてはいないが、「自分もなる可能性が非常に高い認知症」
について、ざっくり知るにはいい本だと思う。
以前も書いたけど、子供が大人の助けを必要とするように、高齢者になった時もまた周囲の助けが
必要になる。
今は若くても、必ず老いは来る。
「迷惑をかけていないから、かけられたくない。自分1人で生きられる」という気持ちではなく、
多くの人が「自分もいつか周囲のお世話になる」、そういうことを認識していれば、
もっと優しい社会になるのではないかと思う。

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