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「リバーサイド・チルドレン」梓崎 優著:ずっしり重い設定に、物語が上滑り・・・・。 [本:ホラー&ミステリー]

リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)

リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)

  • 作者: 梓崎 優
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/09/11
  • メディア: 単行本
6点

カンボジアのストリートチルドレン達と暮らすことになった日本人の少年ミサキ。
ストリートチルドレン達の置かれる過酷な環境。
腐臭漂うゴミ捨て場でゴミを拾って生きる彼らは、劣悪な状況の中でもたくましく生きていた。
しかし、ストリートチルドレン達が次々に殺されるという事件が起こり・・・・。

この小説で描かれているストリートチルドレン達が置かれている過酷な環境というのは、
現実世界に即したものだと思う。
親に捨てられ、売られ、親の虐待に耐えかね・・・一人で生きる事を選び、過酷な状況に身を置く彼ら。
彼らの命は驚くほど軽く、劣悪な環境で必死で働いても、いつも飢えるような生活。

その辺が、この小説からも見えるんだけど、その厳しい現実を舞台に描かれる物語が、
どうも浮いている。
陰惨過ぎる部分や、人の醜さ、目を背けたくなるような悪い部分はさらっと描き、
いい部分を詳しく描いているせいで、土台になってる舞台が、過酷なのが見えているのに、
物語は、別の場所で展開されているような印象を受けるというか。
それは、日本人の少年ミサキの視点で語られるから・・・と言われれば、そういうものかとも
思えるんだけど、それがテーマならともかく、そこにミステリー要素が付加されたため、
より視点はぼやけ、最後まで、物語に入り込めない、つかみ所の無さだけが残る結果に。
ただ、ミステリー要素がなければ、物語自体が、大きなメリハリも、先を読みたいという
吸引力も無いものになりそうな感じだったので(事件が起きるまで、単調な印象だった)、
ミステリー要素は必要だったようにも思えるし・・・。

著者の特徴らしい、情緒的な文章は、たまに効果をあげていたけど、全体を通して、
その文体でも無いので、全体をまとめあげるほどの効果がなく、場合によっては、
情緒的過ぎて弊害になってる場所も。

ミサキがカンボジアでストリートチルドレンになった理由や、連続殺人事件の謎解きやその経過は、
ちょっと突飛過ぎて、マンガみたいだと思えたし。

駄作というほどの出来ではないんだけど、全体的に中途半端という読後感が残った。
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