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「夜と霧」(ドイツ強制収容所の体験記録) [本ノンフィクション:ジェノサイド]

夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録

夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録

  • 作者: 霜山 徳爾, V.E.フランクル
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 1985/01
  • 9点
 
少し前「ドイツは苦悩する」という本を読んで、最近のヨーロッパ事情にとても疎い自分に愕然とし、少しヨーロッパ関係の本を読もう・・と思って、結局読んだのがこれ(^_^;)。
現代ドイツではなく第二次世界大戦中のドイツ強制収容所-その中でも悪名高い「アウシュビッツ」に収容された精神科医である著者の体験記である。
最初に「解説」のページがかなりあり、この中で、ドイツ国内外に作られた収容所の実体が、収容所毎に詳しく解説してあるので、アウシュビッツだけでなく、収容所全体の状況が知りたいという場合にも参考になる。
著者が精神科医である為、収容所に入れられた人間の心の動きを、自分の体験を踏まえつつも、できる限り客観的に捕らえようとしており、とても興味深い、そして考えさせられる事の多い一冊だった。
収容所に向かう列車の中、収容所についた時、収容所初日、収容所でしばらく過ごした後、そして解放後、人の気持ちは見事なまでに変化する。
収容所に入って間もない頃は、他の囚人が看守から暴力を振るわれるのを見て、衝撃を受けたり、憤ったりするのが、その内、全く関心を持たなくなっていく経過や、その理由の推察、極限状態でも生き延びられる人間のタイプの考察、心のより所になる物、解放されてからも残る収容所の体験、それら様々な状況を描きながら、人はいかに人生を歩むかまで深く突っ込んだ一冊だと思う。
訳がちょっと読み憎いのが(誤植や、文章の辻褄があってない部分がかなりある)ちょっと残念だが、それでもいい本だと思う。

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