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「アムンセンとスコット」「極北に駆ける」極寒の中の探検 [本ノンフィクション:冒険・登山、遭難]

アムンセンとスコット

アムンセンとスコット

  • 作者: 本多 勝一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 単行本
  • 8点
 
  • 作者: 植村 直己
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 2000/06   メディア: 単行本
  • 8.5点

 
南極点初到達を目指して南極を冒険した、アムンセンとスコットについては知っていたが、どっちが成功してどっちが遭難したのかは、かなーり曖昧だった私(^^;)。
前にテレビで、遭難した隊の敗因は、犬ぞりではなく馬を使った事、もう1つが皮などの自然素材の服ではなく、最新の化学繊維を使った防寒着を使用していた事だと言っていたので、ちょっと詳細が気になってはいた。
前に読んだ「リーダーは何をしていたか」の中に、その本の著者である本多 勝一氏が、アムンセンとスコットに関しての本も出していると書いてあったので、丁度いいきっかけかなと思い「アムンセンとスコット」を読んでみた。
まず、冒険自体が好きでたまらず、生粋の冒険家であったと思われるアムンセンと、軍人で命令により南極点を目指したスコットでは資質の点でも大きな差があったと思われる。
バクチ的な部分も持つ人生を歩んでいたアムンセンは、ここぞという時には思い切った行動も取るが、計画段階では詳細な調査し、それに自分の創意工夫も加え、入念に準備をするタイプの人間であったらしい。今まで読んだ登山本でも、危険といわれる雪山に臨む登山家達は、その時考えられる限りの準備をして挑んでいる。冒険するには、その前の準備や研究がとても大切なのが読んでいると伝わってくる。
逆に、スコットは、どちらかというと真面目で、準備を怠るようなタイプでは無いが、役人タイプで、今までの判例をそのまま流用してしまうタイプだったようだ。
このような2人がほぼ同時期に南極点を目指して出発。
南極の厳しい自然の中、両者とも苦労を重ね南極点に向かう。いろいろな苦労はあっても、致命的なトラブルもなく順調に旅を続けるアムンセンに比べ、スコット隊の方は馬が次々に死に、最初から予定が狂いっぱなし、途中からは徒歩で極点を目指す悲惨な旅となってしまう。
馬と犬の極寒の地での違いなどもこの本では比較されている。残念ながら、防寒着に関しての記述はあまりなかったが。
そして、一番の悲劇は、スコット隊が極点からの帰路、後少しという所で力尽き全滅してしまった事だろう。尽きた食べ物、漏れた燃料、隊員の病気・・・何か1つでもどうにかなっていれば生還できたかもしれないスコット隊。運命の非情さを感じてしまう。
まだ誰も行ったことの無い極点を目指した2つの隊の冒険は、悲しくも勇気とロマンに溢れ、充分楽しめる内容だった。

「アムンセンとスコット」の最後の方に、いろいろな対談などがまとめてあり、その中で植村直己氏の極寒地での活躍に関する記述があった。
少々批判的な内容であったが、それで興味を持ったのと、「もやしもん 1 (1)  」絡みでアザラシの中に海鳥をいれて発酵させるという「キビヤック」を調べていたら、植村直己がキビヤックを大好物としていたというのを読んで、植村直己の北極付近での本を読んでみようと思い立った。
で、読んだのが「極北に駆ける 」である。
南極の犬ぞりによる単独横断を目指していた植村直己が、まずは犬ぞりの技術を習得しようと、エスキモーの村に滞在する話である。
現代文明とはかけ離れたエスキモー達の中に、単身入り込んでしまう植村直己の行動力と根性にまず脱帽。
またエスキモーの生活習慣に関しての記述も驚く事ばかりで面白かった。私だったら絶対生活できないなぁという感じ。臭い生肉なんて食べるの無理そうだし・・・(-_-;)。
また犬ぞりに使用される犬との、全く心温まらない話も新鮮だった。犬ぞりに使う犬を甘やかしてはいけないそうなのだ。元々イヌをかわいがる文化の中で育った植村直己の戸惑いや、迷いがよくわかる。
また南極点を目指したアムンセンは、犬ぞりの犬も食料として考えており、途中半分以上の犬を殺して食料としてデポしていたりするのだが、植村直己も、その話を知っており、「南極横断を目指すならそこまでしなくてはいけないんだ!」と自分に発破をかけるシーンが印象的だった。
植村直己の本ははじめて読んだのだが、本人の迷い、悩み、夢、希望いろいろなものが、生き生きと描かれる現地の人とのふれあいや、大自然の様子と一緒に詰まっており、かなり面白い一冊だった。
他のも読んでみたいと思っているのだが、なぜか図書館ではどれも貸し出し中。
その内他のも読んでみようと思う。
 
そういえば、当初の目的(^^;)だったキビヤックに関しての記述はあまり無く、そちらはちょっと残念だった。

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コメント 2

かめきち

chokoさん、こんにちは。
おぉ、冒険シリーズはまだ続いているのですね。うれしい。
「犬との、全く心温まらない話」ですか。
『動物のお医者さん』にも犬ぞりの話が出てきましたが、全く違うんですね。
(目指すものが違うんだから当たり前か)
“チョビ”ファンには読むのもつらいかも?
でもその辺のリアリティも含めて、ドキュメント物はおもしろいですよね。
by かめきち (2006-06-05 16:25) 

choko

いつもコメントありがとうございます♪
うんうん、ドキュメント物の面白さってそういう部分にありますよね。
今まで常識と思っていた事が覆されたり、異郷の地での記録というのは新鮮な発見に満ちてます。
そして、かめきちさんご指摘の通り、チョビファン(私も「動物のお医者さん」好きです♪)には、辛い展開が多々ありま~す(T_T)。でも極寒の地で生き抜くにはそういう部分も必要なんだろうなぁと思ったりしました。
by choko (2006-06-06 18:29) 

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