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「アメリカの化学戦争犯罪-ベトナム戦争枯れ葉剤被害者の証言」 [本ノンフィクション:戦争・戦記]

アメリカの化学戦争犯罪―ベトナム戦争枯れ葉剤被害者の証言

アメリカの化学戦争犯罪―ベトナム戦争枯れ葉剤被害者の証言

  • 作者: 北村 元
  • 出版社/メーカー: 梨の木舎
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 単行本
  • 8点
 
戦場カメラマン 」を読んで、ベトナム戦争について、もう少し知りたいと思って図書館に行ったら見つけた本。
 
枯葉剤と言えば、ダイオキシン。
人類が作り出した最強最悪の有毒物質とも言われるこのダイオキシンに汚染されたベトナム。
多くの被害者のインタビューを中心に戦後30年経っても未だその傷が癒えないベトナムの現状を描いている。
 
シャム双生児で有名なベトちゃん、ドクちゃんの、ドクちゃんの方のインタビュー記事も載っている。
 
まず、この枯葉剤の影響は、隔世でも出るという事に驚いた。
母親が枯葉剤を浴び、その子どもには影響が出なかったが、その孫に明らかに枯葉剤の影響と思える異常が出ていたりするらしい。
 
また枯葉剤による症状が、皮膚の異常、内蔵疾患、枯葉剤を浴びた親から産まれた子供の奇形、精神遅延、虚弱体質など、多岐に渡るというのにも恐ろしさを感じた。
その上、父親だけが枯葉剤を浴びたとしても、その影響が子供に出るという。母親が妊娠中に浴びた場合は影響があるのだろうと思っていたが、そうではなく、両親どちらかが一方でも枯葉剤を浴びた場合、後々になっても子供や孫に影響が出るというのは知らなかった。
 
それだけ恐ろしい枯葉剤の影響。自然への影響も大きく、木が大きく育たず、数年経つと枯れてしまう場所もあるらしい。
 
そして、一番悲惨なのは、枯葉剤による影響に苦しんでいる人へのケアがあまりされていないということである。
枯葉剤による体の異常が出ていても病院に行くお金も無く、その上、働けないので生活は困窮している家庭がかなりあるらしい。
国から若干お金は出ているが、生活できるほどの金額ではなく、親が体を壊し、その上、子供にも異常が出ている家庭では、将来を悲観していたりする。
アメリカでは、ベトナム戦争に行き枯葉剤の影響を受けたアメリカ兵の補償をする事になったが、もちろんその補償の中に、ベトナムの人々は入っていない。
また枯葉剤による影響で見た目にわかる異常が出たり、奇形の子が生まれた場合、枯葉剤の影響があまり知られておらず、偏見により近所から差別され孤立するという事も多いらしい。
 
ベトナム戦争が終わってかなり経つが、まだまだその戦禍が人々を苦しめている事がわかる本だった。  

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