SSブログ

「硫黄島の兵隊」越村敏雄著:一兵隊が体験した硫黄島戦 [本ノンフィクション:戦争・戦記]


硫黄島の兵隊

硫黄島の兵隊

  • 作者: 越村 敏雄
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 単行本

7点

太平洋戦争で、激戦の舞台となった硫黄島。
山の形が変わるほどアメリカ軍艦から打ち込まれた砲弾、
圧倒的な戦力に対し、それまでの玉砕戦法とは異なり、持久戦で戦った日本軍。
この島に派兵された著者が体験した硫黄島での生活の手記を、
その娘が補足してまとめた一冊。

下級兵士だった著者は、大きな戦況の流れは見えず、
日々の作業に追われていた為、書かれているのは、
日々の作業状況や硫黄島での兵隊の生活、兵士がおかれていた状況が中心。
硫黄島戦の全貌を知りたいという人には不向き。

でも、個人の体験を詳細に綴っていることから、
硫黄島で、兵士が体験した壮絶な状況が手にとるようにわかる。

島はどこを掘っても熱気と亜硫酸ガスが噴出し、灼熱地獄の中作業する兵士達が
飲める水は、硫黄の臭いのする塩辛い水のみ。
塩辛い水を飲むので、喉の渇きはいつまで経っても癒されず、それが終戦まで続いたらしい。

アメリカ軍上陸前から連日の様に繰り返される爆撃で、次々に負傷する兵士たち。
また、硫黄の水のせいで下痢が止まらなくなり、劣悪な食糧事情もあって、
栄養失調で倒れる兵士も続発した。

そんな兵士たちを鎧のように覆うのは、蠅の大群。
弱っている兵士の上には、鱗が生えたように何層にも蠅が群がり、
栄養失調で倒れた著者の体も蠅に覆われたという。

兵士たちの置かれた状況が、想像を絶するほど過酷だったことがこの本を読むと伝わってくる。

「硫黄島の戦い」をより詳しく知る為には、いい本だと思う。

気になったのは、この手の手記は、写実的な描写が淡々と語られる事が多いのだが、
この本の場合、流れ出る血を「赤い蛇のように」と例えたり、小説的(?)な表現の部分が
たまに見られた事。
そのせいで、ドキュメンタリーっぽく無くなってしまっているのと、
たまになので、そういう表現の文章が浮いてしまって違和感があった(^_^;)。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。